弊所は「商標専門」をうたっていますが、それ以外の知的財産権についてももちろんご相談に応じております。最初は商標(登録)でご縁をいただいたお客様から、

「意匠登録の範囲が広がったようなので、興味があるのですが」

「『デザインは意匠権』と聞いたんですが、ロゴマークは意匠権をとっておくべきですか?」

といったご相談をいただくこともよくあります。
今回は特に、「商標登録は経験があるけど、意匠登録は未経験」という方を対象に、意匠登録の対象や、意匠登録の出願時の違いについて、簡単にまとめたいと思います。

◎意匠権で守るのは「物品のデザイン」が基本!

意匠権とは、「物品」等のデザイン(美的外観)に対して、意匠登録をすると与えられる権利です。

たとえば、みなさんが日々使用されている様々な製品、たとえば「椅子」とか、「カバン」とか、「自動車」とか。これらを購入される際、確かにその性能も重視されると思うのですが、決めてはそれだけではなく「デザイン的に気に入るかどうか」も重要な要素になるのではないでしょうか。
それこそ、「宝飾品」などであれば、デザインの観点こそ購入の最重要ファクターになることもあるでしょう。「菓子」だって、味だけでなく、そのかたちやパッケージデザインがさらに人気を高めることもありますよね。

このように、物品のデザインは価値のあるものですから、それを創作した者には何らかの権利が与えて、そのデザインを独占的に実施できるよう、保護してあげるべきですよね。それを実現してくれるのが「意匠権」というわけです。

人気商品となれば、他者が模倣してくることは(善意であれ、悪意であれ)頻繁に起こることです。もし意匠登録をして「意匠権」を取得しておけば、そのような模倣に対しては、「意匠権侵害です」という通知で、一発で差し止め可能です(※損害が生じていれば、損害賠償請求も可能です)。

ところでデザインというと、「著作権」も気になるかもしれません。このあたりの権利との違いについては、弊所が提供しているサービス「ロゴトアール」のサイトにおける、拙稿をご覧いただくとして…

【ロゴ作成】 ロゴマークって、商標?意匠?著作物??
https://logoto-r.com/135/

…では、意匠登録/意匠権の対象である「物品」等の”等”とは何なのでしょうか?

◎法律改正〜意匠権の対象が広がった!

意匠とは、かつては単に「物品」の美的外観と説明されてきましたが、2020年4月1日に施行された改正「意匠法」で、

・(アプリ等の)「画像の意匠」や、
・「建築物の意匠」
・「内装の意匠」

も、登録の対象に加わりました。

たとえば、「画像の意匠」というところでは、ゲームやスマホアプリにおける「アイコン」のデザインなども対象になります。そう考えると、いままでは意匠権に縁がなかった事業者の方も、新たに検討が必要となるケースは多いかと存じます。

(第2回は、商標登録になくて、意匠登録にある「ハードル」についてです)
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