【はじめに】
たとえば、皆さんが「カバン」を製造・販売される事業者だと、想像してください。
他社のカバンより、品質やデザインなどに自信がおありのはずです。
そんな自信のあるカバンを、他社のカバンと間違えられないよう、「区別できる目印」がついていたほうがいいですよね(→たとえば特徴のある商品名や、ロゴマークなどです)。
そして、だんだんとそのカバンの評判が上がってくると、一般消費者は「その目印」を手掛かりとして、皆さんのカバンを選んで買いに来るようになります(その前に、「目印」に注目するのは、仕入れる卸・小売店も同様でしょう)。
さらに人気が上がってくると、もはや「その目印がついているだけで」そのカバンをみんなが欲しくなります。持っていること自体がステイタスになるんですね。いわゆる「ブランド」になった(ブランド力がついた)状態です。
こうして、目印が、正しく商品に使われ続けると、商品の「ブランド力」が、その目印に結びついていくのです。
そんな大事な「目印」を、あなた以外が使うことは認められませんよね。紛らわしい「似た目印」すら、他社には使ってほしくないでしょう。
その解決策として、商標制度があります〜つまり、その“目印”を「商標として登録」すればいいのです。そうすれば、あなただけが独占的に、そのカバンに使用できるようになります。それは、第三者が勝手にその商標(や紛らわしい商標)を使用することを防ぐ「商標権」を得ることでもあります。そのようにして、ブランド力が「商標権」として認められたら、他の人からその商標権を「売って欲しい」「ライセンスしてほしい」と言われるかもしれませんね。つまり「(知的)財産価値」がある権利となるのです。
「だったら、いつ、商標登録すればいいの….?」
まだ、その商標を皆さんが使用していなくても、「これから使用したい」という予定を立てているうちに登録できます。ですから、知的財産権の重要性が高まっている今日では、「新しく事業を始める前に、商標を登録する」ことが一般的なのです。 (ちなみに、ここでは「カバンの製造・販売」を例にして説明しましたが、ここを「(何かしらの)サービスの提供」に置き換えても、同じことが言えます)。
【どんな“目印”を商標として登録できるのか?】
商標は、商品やサービスの“目印”ですから、人の知覚によって認識することができるものでなければいけません。具体的には、
①文字(ネーミングですね。ロゴ化されていなくても大丈夫です)
②図形・記号(ロゴマークなどですね。商品のパッケージなどもここに当てはまります)
③立体的形状(「店の目印として、店頭にあるマスコットの人形」などがその例です)
④色彩のみからなる商標
⑤音
⑥その他(位置、動く商標、ホログラム)
が、日本の商標法では登録が認められています。
④〜⑥は、平成26年の法改正により、登録が認められるようになったものです。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/index.html
ちなみに、弊所のロゴは、①(文字)、②(図形)、④(色彩)を組み合わせた商標です。
【どんな商品・どんなサービスにその商標を使うのか〜「指定商品・指定役務」】
商標を登録するにあたり、その商標をどんな商品・どんなサービスに(目印として)使用するのかを予め指定しなければなりません。これを「指定商品」または「指定役務(
サービスのことです)」と呼んでいます。
指定商品・指定役務は、以下の45の区分(第1類〜第45類)にわけられています。
【商標登録により守られる権利とは?】
商標を登録すると、その商標は「登録商標」と呼ばれるようになります。
®(registered。「登録されている」の意)をつけられるのは、登録商標のみです。
そして、登録商標については、「商標権」というものが発生します(商標を出願された方が「商標権者」です)。商標権は、以下の効力を商標権者に与えてくれます:
①商標権者だけが、登録商標を、指定商品・指定役務の範囲で使用することができます(独占排他的な権利)=第三者が勝手に使用していたら、止めることができます。
②登録商標に「似た商標」を、指定商品・指定役務の範囲(またはそれらと「似た商品・役務」)の範囲で、第三者が使用していたら、止めることができます(「禁止権」と呼ばれます)。
これが認められないと、お客様の商品やサービスが、第三者のそれと混同されて、ブランド力が損なわれるおそれがあるからですね。
③第三者の勝手な使用(登録商標、または登録商標に「似た商標」)により、商標権者に損害が生じていれば、損害賠償等も請求できます。
④商標権は、特許権や著作権と同様「知的財産権」のひとつなので、他人に譲渡したりすることもできます(譲渡しなくても、第三者に「使用を許諾する(ライセンス)」ことも可能です)。
厳密にいえば商標権の効力はもっとあるのですが、ざっくりとこんなところです。
つまり、商標登録すると、皆さんは安心して、登録商標を自身の商品・サービスに“目印”として使用することができ、「ブランド力」の醸成に邁進することができるのです。
【商標権の有効期間は何年?更新できる?】
商標権は、登録から10年間有効です。
では、それ以降は権利が失われてしまうのでしょうか? 答えはNO。商標権は何回でも「更新可能」なのです。
10年経過したら登録商標を独占的に使用できなくなるのでは、せっかく登録商標を(自身の)商品やサービスに正しく使用し続けることにより、高まった「ブランド力」が、10年以上は保持できないことになってしまいますからね。
実際に、明治時代からずっと登録商標をお持ちの「老舗」の事業者がいらっしゃるのは、登録商標を「更新」できる制度になっているからです。
商標のことなら、お気軽にお問い合わせください
ONION(オニオン)商標知的財産事務所
TEL : 03-6869-0804
平日 9:00-18:00
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