先日、弊所弁理士 山中のコラムにもありましたが、「弁理士」が登場するドラマがスタートしましたね。

日本テレビ系 水曜10時「それってパクリじゃないですか?」

です。https://www.ntv.co.jp/sorepaku/

弁理士役を、ジャニーズWESTの重岡大毅さんが演じていらっしゃるんですが、弁理士の知名度が上がることに期待しつつ、「弁理士って、こんなにクールでイケメンなの?」と勘違いされるとやばいな、と余計な心配もしながら、楽しみに見ています。

その第一回では、特許の「冒認出願」がテーマでした。特許権は、新しく・進歩のある発明をした人に、出願→特許権取得のインセンティヴ(「特許を受ける権利」)が生まれるのですが、発明人以外が、何らかの手段によりその発明の内容を得て、勝手に出願してしまうことを言います(その背景を特許庁審査官が知らないまま、特許権を付与してしまうことがあり得ますが、手続きを経て、本来特許を受けるべき発明者が、その特許権を取り戻せる制度があります)。

しかし、ドラマのネタバレになる部分は触れませんが、やはり大事な発明の内容について、第三者に情報が漏れてしまうことは、避けるようにしなければいけませんよね。TVでも「素晴らしい発明を事業に活かして、成功している会社」が紹介されることはありますが、その途中でカメラがストップし、

「ここからは企業秘密・門外不出につき、カメラ撮影禁止!」

なんてテロップ、見たことありませんか?

ここで、一般に(※弁理士の勉強を始める前の、弊所弁理士たちもそうでした)、誤解が生まれやすいんです。

*発明は、特許権で守るべき(←間違ってないです)

*発明は、企業秘密として守るべき(←これもアリ。少なくとも、出願前はその通り)

*それなら、特許=企業秘密、ですよね?(←誤解です!!!

どういうことでしょうか!?その説明のためには、特許権が成立するまでのプロセスを説明する必要があります。

特許権は、自然に生まれるものではなく、「特許を受ける権利」を有する者=原始的には「発明者」が、特許庁に出願手続きを行い、審査を経て、認められた(特許査定がなされた)場合、所定の特許料を払うことで、やっと発生します。

出願では、発明の内容を、しっかり文章や図で説明しなければなりません。そして、出願された発明の内容は、

(出願から1年6ヶ月経過 or 出願人がお願いした時に)「公開」される

のです。はい、この時点で、

出願した発明は「秘密」ではなくなる

わけです。

「えっ、せっかく頑張って成し遂げた発明が、公開されて、他の人にも知られちゃうわけ? だったら、企業秘密として秘匿していたほうがいいじゃない!」

と考える人がいたとしたら、その考えも間違っていないです。実際、そのような戦略をとっているケースもあると思います。

ただ、特許という制度がなぜあるかといえば、「せっかくの素晴らしい発明は、なるべく公開してほしい」からなんですね。世の中にどんな発明があるのかわからなければ、他の人が同じものを発明しようとして無駄な研究、投資をすることも起きかねませんし、逆に存在する発明を知ることができれば、それを元にしつつも、新たな課題を解決する発明・既存の発明よりも更に「進歩」した発明もなされていくでしょう。つまり発明の公開(の積み重ね)は、「産業の発達」につながるというわけです。

しかし、やはり前述のような「公開のリスク」がある以上、タダで発明を公開してほしいと言っても、発明者は誰もノってきませんよね。そこで「発明の公開に対する代償」として、一定期間(※出願から20年)、その発明を独占的に実施できる権利=つまり特許権を与えますよ、という考え方なんです。

ところで、

「出願はするけど、特許権取得は目指さない」

というケースもあります(というか多いです)。

実は、(商標権や意匠権は、出願したら必ず審査してもらえますが)特許権は、出願しただけでは審査してもらえず、さらに「審査請求」をしてやっと審査してもらうプロセスに進むんですね。一方、出願すれば、放っておいても(1年6ヶ月経てば)公開されますよね。その公開によって「新規性が失われる」、つまり、「他者が同じ発明を出願しても、新規性がないので、特許権は認められない」ということになります。

つまり、「他者に特許権をとられるのは困るけど、それさえ防げれば、わざわざ時間とお金をかけて特許権取得まではしなくてもいいかな」と判断され、審査請求されない発明も、あるわけですね。大手メーカーなど、研究者がたくさん発明をして、たくさん出願している場合は、このように判断されることも多くあるのです。

さて、話を戻しますが、テレビで「ここからはカメラ禁止!」といった企業レポートがあったとしたら、そこからは「まだ出願していない発明が関わっている」、又は「特許権ではなく、企業秘密として秘匿することで保護する戦略の発明が関わっている」から、と考えるのが妥当、というか素直な受け止め方ということになると思います。

よし、「それパク」第三回を見ながら、終了までに一本記事が描き終わったぞ!

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