本稿では、
「Amazon Brand Registry」
https://brandservices.amazon.co.jp/brandregistry
(いわゆる「amazonブランド登録」。以下、「ブランド登録」といいます。)
について、「はじめに」
http://onion-tmip.net/update/?p=1369
につづいて、深堀していくものです。
①「Amazonブランド登録」するには「商標登録」が大前提。ではどんな商標でもOK?
まずは、「ブランド登録」の手続きを”開始する”のボタンを押すと飛ぶ、こちらのページを見てみましょう。
https://brandservices.amazon.co.jp/brandregistry/eligibility
上記リンクの「資格要件の確認」の欄には、
ブランドには、登録保留中または登録済みの有効な文字商標または図形商標が必要です。
とあります。
文字商標の例としては、装飾されていない、シンプルなゴシックフォントの「AMAZON」という文字列が挙げられていますので、
◎ここでいう文字商標とは、図形要素を含まない、文字のみで構成される商標(いわゆる「ロゴタイプ」)
◎必ずしも、「標準文字商標」である必要はない。
といえます。もう一方、
図形商標ですが、の例としては、いわゆるAmazonのロゴマーク(文字列の下、aからzに向かって、曲がった矢印のような図形がある)が挙げられています。
実は、上記の「〜図形商標が必要です。」という文章の後には、「語句、文字、または数字を含む図形商標(画像商標)でなければなりません。」という要件が記載されていました。つまり、
◎ロゴマークといっても、図形要素だけでなく、文字要素(語句、文字、又は数字)が結合したものであることが必要。
◎逆にいえば、「図形要素のみでできているロゴマーク」は、ブランド登録不可
となります。
しかし、弊所の経験でいえば、「ブランド登録」を想定して商標登録をするのであれば、
「できるだけ、文字商標(標準文字、ロゴタイプ)で出願したほうがいい」
とアドバイスさせていただきます。
なぜかというと、 このあと、実際に「ブランド登録」申請のページに進むとわかるのですが、
「申請するブランド名を入力してください。」
という欄が出てきます。
こちらで入力したブランド名が、アマゾン商品詳細ページに表示されることになるので、重要なのですが、
・大文字・小文字を区別して入力をお願いします。
・入力するブランド名は、原則として商標と一致している必要があります。
との記載があります。
商標と一致?これは登録商標と一致、ということと読み取れますが、図形商標(文字含む)の場合は、どう入力すればいいのでしょうか。
Amazonの登録ガイドラインによると、この欄には、
「商標(検索用)の横にある商標名の綴りとフォーマットを確認します。申請時に申請するブランド名を入力してください」
とアドバイスされています。さて…
「商標(検索用)」って何だ?
これは、商標登録のご経験者であればわかるかと思いますが、特許庁のデータベース「J-PlatPat」のページにある項目です。
弊所関連の登録商標の情報で説明しましょう。
弊所が提供している、「ロゴ制作+商標登録」を一括サポートするサービス「ロゴトアール」のロゴマークですが、
こちらのリンクをクリックして見ていただくと、「登録番号」から始まって、さまざまな情報がある中、最初のブロック(「分割満了日」まで、で一区切り)の次の行に、「商標(検索用)」という欄が見つかったと思います。こちらの「横にある商標名の綴り」を、ブランド名として入力するのですが…あれ、
§Logoto∞R
変なマーク(「§」「∞」)がついていますね。これはJ-PlatPat側のルールなのですが、
・特殊記号「§」
特殊態様を表します。
当システムで使用している文字コード表以外の文字の使用、又は特殊な構成、態様からなる場合、先頭に「§」が付与されます。
←ロゴの最初の”L”がデザインされているため、特殊態様と判断されたと思われます。
・特殊記号「∞」
構成分離を表します。
商標が二つ以上の部分に分離された構成からなる場合(縦書きと横書きからなる商標などの場合)に、構成が変化する文字間に「∞」が付与されます。
←ロゴの最後の”R”が、それ以前の文字とはデザインが異なるため、構成が変化=構成分離と判断されたと思われます。
では、このような場合は、どのように入力すればいいのでしょう?
かつては、この「§」「∞」を含めて記入することがAmazonから求められた例がありました。もし、そのルールで、この商標登録を元に「ブランド登録」をしようとしたら、
・本来のブランド名は「LogotoR」なのに、
・「§Logoto∞R」としなければならない!?
かつては、実際このようなブランド名の表記で登録が求められたこともあったのです。
なお、現在(※2023年7月)のAmazonのガイドラインを確認すると、
・申請時に商標名を入力する際は、「§」、「∞」、「、」、「\」といった記号を含めないでください。
・名前が英語で表示されている場合は、J-PlatPatに表示されている商標名をスペースも含めて正確に入力して申請してください。
とありますので、上記の例の場合は、
・「Logoto R」
と入力するのが正解と思われます。
今回の弊所の商標登録の場合は、上記のようなブランド名でも、本来の意図したものに近いので大きな問題となりませんが、
注意しなければいけないのは、
「ローマ字(アルファベット)1文字ないし2文字をモチーフにした図形と、その他文字からなる商標」
の場合です。
何か、例になる商標がないと、わかりづらい説明ですよね。たとえば…
中日ドラゴンズの、こんな商標はいかがでしょう
https://news.1242.com/article/393578
「CとD」のモノグラムは、昭和の時代からキャップにも使用されてきた、ドラゴンズファンに限らず、野球ファンや中京地域の方であればお馴染みかと思いますが、そのモノグラムを組み込んだ「DRAGONS」の文字の商標は、落合博満監督時代のユニフォームの胸文字として記憶に刻まれているところかと思います。
この胸文字も、しっかり商標登録がありました。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2003-113772/C7501D9E37EFEB255D6DD57D6B2BC93B94A8DB0F16D77FB3390522BE41964493/40/ja
では、この商標登録の「商標(検索用)」を見てみると、どう記載されているかというと…
§C∞DRAGONS
とされています。含まれている特殊記号を抜いて、表記すると…
C DRAGONS
つまり、この登録商標を基礎として、ブランド登録をしようとした場合、登録できるブランド名は、「DRAGONS」とすることはできず、「C DRAGONS」(称呼「シイ ドラゴンズ」)としなくてはならないわけです。
もっとも、中日ドラゴンズの場合は、文字列”DRAGONS”だけからなるロゴマークも(複数)商標登録されていますので、それらを基礎にブランド登録をすればいいのですが、
「当面、1件だけ登録商標して、それを基礎にブランド登録をしたい」という場合は注意が必要
です。
(文字を含む)図形商標が、どのような「商標(検索用)」の文字を割り振られるかは、特許庁判断になりますので、原則、指定はできません。しかし、ONION商標の弁理士であれば、ある程度予測することが可能ですので、まずはご相談いただければと思います。
(続き)「②Amazonブランド登録 を想定した商標登録では、指定商品等の選定にコツがある。」はこちら
http://onion-tmip.net/update/?p=1394
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