こんにちは。ONION商標・弁理士の山中です。

先日、このような記事が上がっていました。

◎(商標)「『そだねー』商標登録出願に“却下”通知 」
http://www.news24.jp/articles/2019/03/15/07421932.html

ずいぶん間があいて、ちょっと忘れかけていた話題ですね(こんなに間が空いてしまうのも、現在、商標の審査は、出願から9カ月ほどかかっているからなのですが)。

「そだねー」という商標については、いろいろな議論が起こりましたが、

  • 商標登録は、早い者勝ちである
  • ある名称を、有名にした人に、権利取得の優先権があるわけではない
    →商標とは、あくまで「商品やサービスの”目印”として使用するもの」

…等の、商標法の基本に加え、

  • いくら法律的に認められた出願でも、「ずるいよ!」と世間が感じるような出願だと、むしろ事業にマイナスのイメージをもたらしかねない

…というビジネスの難しい部分も教えてくれた事例となりました。

ところが、このニュースにある通り、「そだねー」の商標登録は、結局認められませんでした。気になって調べてみると、10件程度あった「そだねー」「そだね〜」といった文字の出願は、軒並み拒絶理由通知がなされていました(反論しているもの・拒絶査定
確定しているものは3月中旬時点でまだなし)。
そして、その拒絶理由で共通しているのが、「商標法3条1項各号該当」というものでした。

3条1項各号とは、(1)号から(6)号までありまして、
(1)普通名称
(2)慣用名称
(3)記述的名称
(4)ありふれた氏・名称のみ
(5)極めて簡単かつありふれた標章のみ
は、商品やサービスの“目印”として機能しない(これを「識別力がない」と言います)等の理由で登録できませんよ、という条文なのですが、

「(1)〜(5)号には該当しないものの、やっぱり『識別力』がないよねぇ」という商標に通知される(6)号
が、今回の「そだねー」関連の出願には通知されていました。

その拒絶理由の一つを取り寄せて見てみました。その論理構成をざっくり説明すると、

*「そだね-」の文字は、平昌オリンピック・カーリング女子で銅メダルを獲得したLS北見の選手たちが試合中に使用し、それがマスコミで取り上げられることで、「流行語」となったもの
(※複数の新聞の記事などが、流行語になっている証拠として挙げられている)

*その後、「そだねー」の文字は、商品等の販売キャンペーンや販売セールの名称の一部に使用されるなど、商品等の宣伝広告に用いる語として広く使用されている実情がある

*そうすると、「そだねー」という商標を、(出願で指定されている)商品等に使用(=商品名として、パッケージに記載したり広告に記載するなど)しても、これを見た人(取引者・消費者)は、宣伝・広告的な意図を含んだ語であると理解するだけ。

つまり、「そだねー」の文字には、誰かしらがその商品等の“目印”として使っているという、商標としての識別力は、ないよ

3条1項(6)号該当、というものです。

確かに、そう言われてみると、そういう気がしますね。

もし、「そだねー」という、もともとは北海道の方言、それも全国の人々をどこかほっこりする響きのある言葉を、「流行語」となる前に北海道の企業が出願していたら、結果はどうだったろう…と思ってしまいました。

また、確かに「流行語」を商標登録できれば、強い権利となりそうな気もしますが、消費者にどう映るか、そして今回の特許庁の判断のように、登録にもハードルがあることを承知の上、出願を検討したほうがよさそうですね。

最後にもう一つ加えると、前述のとおり、特許庁の審査は現在、出願から9ヶ月程度を要しています(※早期審査制度等を利用しない場合)。その頃に、まだ流行しているのか?ということも考えて、巷で話題の言葉の出願は、冷静に行きたいところです。