ONION商標・弁理士の山中です。

最近、朝の移動が多いのですが、そんなときはRadikoでラジオを聴くようになりました。
先日、TBSラジオの「伊集院光とらじおと」を聴いていると、「(登録)商標」の話題が出て、商標を扱う弁理士としては、朝から軽くコーフンしてしまいました(笑)。どんな話題だったかというと…

伊集院さん曰く、「NHKでは(昔に比べると最近はだいぶゆるくなっているものの)、登録商標は言わないようにする」というルールがあるそうで。そこで、お菓子の話題のときに「萩の月」(※登録1614710号 他)は言わないように気をつけていたのに、つい「オセロ」(※登録4178537号 他)と言ってしまい、しゃべりのプロとして落ち込んだ、というお話でした。

ところで、放送で登録商標を口にすると、商標権侵害になってしまうのでしょうか?

商標登録をすると、商標権というものを手に入れることができます。商標って、そもそも「商品やサービスの”目印”として使うもの」なので、登録するときには、その商標を使用する「商品」「サービス」を指定して登録することになります(その範囲で、商標権を得るイメージです)。

そう考えると、例えば「登録商標」がテレビに映ったり、「登録商標」をラジオでただしゃべるだけでは、その商品やサービスの”目印”として使っていることにはならないので、いわゆる(他人の)商標権”侵害”にはならないことが通常です。

にもかかわらず、「放送で、うちの登録商標を使わないで!」と商標権の持ち主が言ってくることがあります。どういうケースでしょう…?

その登録商標が有名になりすぎて、ある商品の”普通名称”にまでなってしまうと、もはや特定の商品の”目印”として機能しない、つまり商標権の力が失われてしまうのです(これを「商標の普通名称化」といいます)。

普通名称化の防止に関しては、「味の素」(株式会社)の取り組みは有名です。料理番組などで「味の素を少々」という表現がされることがあったそうなのですが、登録商標「味の素」(※一番古い、登録第34220号は、なんと明治41年登録!)の持ち主である同社は、その度に「『味の素』ではなくて、『化学調味料(※)』と言って!」と、放送局にお願いをしていたと聞いたことがあります。他にも「普通名称化」防止策としては、「使わないで」というかわりに、「◯◯社の登録商標だと表記して!」というお願いするのもアリですね。書籍やウェブなどはこちらのほうが有効かも。こうした普通名称化の防止は、商標権者の責務の一つでもあります。

また、これは商標権とは別の話ですが、民間放送においては、番組スポンサーとの関係で、スポンサーのライバル商品名は言わないということはありますよね。昔の、あるラジオのヒットチャート番組は、お菓子メーカーがスポンサーで、そのライバル企業のCMソングがヒットしたとき、その曲がなかなかチャートインしなかった…というエピソードを読んだことがあった気がします(ホントな?)。

そして、民放ではない、それこそ放送法で「広告放送の禁止」も義務付けられているNHKでは、具体的な商品名・ブランド名であることが多い登録商標を取り上げると、その宣伝につながってしまうことが多いから…という点も、登録商標はなるべく言わないでおくという理由なのでしょうね(※前述の「化学調味料」も、その理由で便宜上つけられた名称だ、という話も。ちなみに今は「うま味調味料」ですね)。

そんなNHKで、堂々と社名や商品名が映るということで、大相撲の検証とか、それこそプロ野球のオーナーになることは、特に宣伝価値が大きいよなぁ…
(などと、あれこれを考えて言えるうちに、あっという間に降りる駅に到着しました!)

 

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