ONION商標の弁理士小野尾です。

アディダスの3本線の商標がEUで無効になったというニュースが最近話題ですね。
実際のどのような商標が無効になったのか調べてみました。

まず最初に申し上げておきたいのは、今回、無効と判断された商標は、欧州連合の登録商標です(日本の登録商標ではありません)。その上で、どんな商標だったかを見てみると…

*商標図形を見ると、白背景、黒い3本の線が縦にひかれています。

 

*そして、Description(商標の説明)として、「The mark consists of three parallel equidistant stripes of equal width applied to the product in whichever direction.(マークは、製品に対し方向を問わず任意に付された3本の平行な等間隔で等しい幅のストライプで構成されている。)」と記載されています。

*さらに、指定商品は、class25(第25類)のClothing(被服); Footwear(履物); Headgear(帽子類)となっています。

つまり、被服、履物、帽子類の商品に対し、どの方向からでも3本線が付されていれば、アディダスの商標権の範囲内となるような権利のようです。

では、なぜこの商標が無効と判断されたかですが、
「識別力を有しない」との理由によるもので、日本の商標法で言うところ、自己と他人の商品・役務を区別することができないもの(商標法第3条)に相当する理由です。

参考【特許庁ウェブサイト(出願しても登録にならない商標)】
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shutugan/tetuzuki/mitoroku.html

この裁判で、裁判所は、この3本線が、EU全域で消費者がアディダス製品だと認識できる程度に識別力を有していることを証明する必要があるとしました。
これに対し、アディダスは証拠をいくつか提出しているようですが、認められなかったようです(もっとも、アディダスは控訴することもできるので判決確定ではありません)。

また、個別の商品デザイン(ジャージの袖の3本線、スニーカーのサイドの3本線)については、別途登録されていますので、判決が確定したとしても欧州連合域内で、他社が3本線を自由に使用できるようになったわけではありません。

 

ところで、このような「方向を問わず任意に付された3本の平行な等間隔で等しい幅のストライプ」というように説明されるタイプの商標、日本では商標登録が認められていないのです。では、日本では、どのように「3本線」は保護されているのでしょうか….?

上記の欧州連合商標が出願されたのは2013年の12月でしたが、当時の日本の商標法で、
「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(「標章」)であって、商品、役務ついて使用するものと規定されており
登録が認められる商標は、

*1.文字商標(記号含む)
*2.平面の図形商標(文字等が結合したもの含む)
*3.立体商標(文字等が結合したもの含む)
*上記1~3に色彩が結合したもの

に限定されていました。

そこで、日本では、どのようにアディダスが商標権を取得しているかもちょっと見てみました。
出願人/権利者/名義人:アディダスアーゲーで222件ヒットしましたが、ベーシックな3本線を図形商標として取得している他にジャージとスニーカーについては立体商標として取得されていました。

*登録4522862(ジャージ立体商標)

*登録4522864(スニーカー立体商標)

上記は一目でアディダスと認識できますから、当然に保護すべき商標ですよね。
今回、日本国内で2年前に導入された新しいタイプの商標の出願・登録は確認できませんでしたが、今後は、位置商標等の新しいタイプの商標の出願も活用されていくのではないかと思います。

(参考)特許庁 新しいタイプの商標の保護制度に関するQ&A
「Q1-6 「位置商標」とはどのようなものですか?」

https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/trademark/new_shouhyou_faq.html#anchor1-6

 

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