商標の手続きも終え、商標登録証が届くと、「よし、商標登録したぞ!これから10年は商標権で守られるぞ!」と一安心されるかと思います。そんな、時間と費用をかけた商標登録が、何もしていないのに取り消されてしまうことがある?なんて、にわかには納得できないですよね。しかし、実際にそのような制度があるのです。それも「何もしていない」からこそ、取り消されてしまう(かもしれない)という…

それが、商標法50条で規定される「不使用取消審判」というものです。

どんな制度なのかすごくざっくり説明すると、登録商標を、日本国内で3年間続けて使用しないまま(※)だと、この審判を請求されたときに、請求が認められ、登録が取り消されてしまうというものです。この審判、商標権者(審判請求される側)が「商標を(3年の間に、一回でも)使っていましたよ」ということを証明できれば、商標権は維持されます(維持審決)。

なぜこんな制度があるかといえば、それは商標法(商標権)の趣旨ともリンクしてきます。そもそも、商標権とは、商標を(しっかり使用していくと、その商標に積み重なっていく)ブランド力を保護するものです。日本は「登録主義」と言って、仮にまだその商標を使用前だとしても「これから使っていくんだよね?しっかりブランド力積み重ねていくんだよね?」という性善説的な立場で登録を認めてくれるわけですが、だからこそ「登録後にちゃんと使用されていない商標」(権者)に対しては厳しいのです。「使わないなら、手放してよ。そうすれば、その商標は他の(使いたい)人が使えるんだから」という感じです。

そう、この不使用取消審判、主にどういう人が請求してくるかといえば、別に商標権者にいじわるをしたい、恨みがある人…なんてわけではなくて、「その商標を使いたい」「その商標がなくなれば、自分の使いたい商標が商標登録できる」という人達です。

商標登録は、原則”早い者勝ち“であって、同じ商標や類似の商標を、他人が先に登録していた(いわゆる「先登録商標」があった)ら登録できない、というのは、ご存知の方も多いと思います。しかし、裏を返せば、その先登録商標さえ消滅すれば、(自分の)商標の登録が可能になります。そこで、そのような立場の人が、不使用取消審判を請求してくるのです。

ただ、商標権は、この審判を請求せずとも、権利者が「放棄」しても消滅しますし、もっといえば、先登録商標が、他人のものではなく「自分」のものになれば、たとえ類似していても、商標登録は認められます。そこで、いきなり審判請求をするのではなく、事前に「商標権を譲ってくれませんか」とか「放棄してくれませんか」と交渉を受けるケースのほうが一般的です。こうした交渉等により、「(交渉が破談になれば)審判請求をされる!」ことを知ってから(※請求の3ヶ月前から)使い始める「駆け込み使用」は認められていません。

つまり、せっかく登録した商標権を、不使用取消審判から守るために大事なことは、「登録商標を、指定商品・役務の範囲で、正しく使用しておく」ことになります。

さて、ここで、よく争点になるのは、使用している商標が「登録商標かどうか」という点です。「え?登録商標に決まってるじゃん!」と思われるかもしれませんが、中には登録商標を、微妙に変えて使用されている方はいませんか? 次回はこの点(「社会通念上同一」の商標)について解説していきたいと思います。

 

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