こんにちは。ONION商標・代表弁理士の 小野尾です。
今更ながら、「生成AI」の進化と普及は凄まじいですよね。毎日のように関連する記事を目にしますし、特に意識せずとも、日常生活の中にもサービスが提供されるようになってきました。
ここで、弊所 ONION商標の、生成AIに対するスタンスを、まとめておきたいと思います。
まず、「エンタメに強い!」とうたわせていただている弊所では、実際に、エンタメ業界のお客様が多くいらっしゃいます。しかし、そうしたお客様との関係だけでなく、そもそも(エンターテイメントを愛する)弊所スタッフには、エンターテイメントにおける知的財産、そしてそれらを生み出すアーティスト、クリエイター、そうした人々をサポートする皆様に、多大なるリスペクトを持っています。
そのようなエンタメ業界の方々の努力を脅かすような「生成AI」に対しては、反対のスタンスです。
もちろん、知的財産のプロとしては、著作権法を核とした「何がOKで、何がNGなのか」という研究や議論も学び続けなければなりません。しかし、法律を超えて、「どのような人間の文化的な営みが、守られるべきなのか」、この点に敏感であり続けたいと思っています。
また、弊所では、安易に「生成AIを利用したサービス提供」を売りにするような状況にもありません。
なぜなら、私たちのような商標を専門とする弁理士であれば、商標法・商標審査基準・商標便覧、そして判例といった拠り所は、ある程度「体の中に」染みついているもの(スキル)であり、その活用や解釈に「生成AI」を頼りにするようでは、ちょっと心許ないのではないか、と考えています。
さらに、民間各社のデータベースの他、特許庁提供の「J-PlatPat」に代表される有用かつ信頼できる公的なデータベースも開示されていますから、これらデータを、(上述の)スキルを持ち合わせた「弁理士」を介することで、個々のお客様・個々の事案に適したサービスを、速やかに的確に提供できるのは当たり前だと考えています(※そこにシステム、技術を活用するとしても、守秘義務を注意しながら「インナー」で開発・運用すべきと考えています)。
では、「ONION商標では、生成AIを、一切使っていないのか?」というと、答えは「NO」です。
一体何に使っているのかというと、顧客情報の秘匿を第一に、それがしやすいChatGPTの有償サービスを利用し始めています(ちなみに「ChatGPT」は、OpenAI OpCo, LLCの登録商標です)。具体的に「何に」利用し始めているかというと、やはり「事務的処理」についてのトライアルです。もちろん、現状の生成AIでは、十分な結果が得られないことも(ことの方が)多いぐらいですが、「弊所員が時間と手間をかけてやっているこのサービスに、生成AIをどこまで活用できるのか?」を確認し続ける作業は、お客様に提供しているサービスの対価が適正か、そのサービスの品質向上はできないかを追求するためにも、必要な作業だと考えています(特に、生成AIのクオリティが、あっという間に向上していたりするだけに)。
ところで、このようなメルマガ/ウェブサイトに投稿する記事に、生成AIは活用できないでしょうか?実際、それにトライして、記事作成の効率化や本数アップを考えてはいるのですが、なかなか活用できていない現状があります。ただこれは、生成AIの現状のクオリティの問題や、自分や弊所員のプロンプト作成の下手さ(苦笑)だけの問題ではないと考えています。
というのも、特に弊所の記事は、同僚弁理士の山中が執筆しているものが多いのですが、彼ならではの経験をふまえた記事を執筆しようとして、生成AIが思い通りのものを出してくれないのは、ある意味当たり前なんですよね。初めて公開する経験を、生成AIが既習しているわけはないですから(笑)。
自力で執筆した文章を、校正やブラッシュアップのために読み込ませているうちに、自分らしい視点や文体は学んでくれるかも知れませんが、できればそれを裏切る・上回る文章を自分で執筆したいものですよね
(…なんて意気込んでいるから、結局執筆に時間をかけてしまっている、弊所弁理士たちです)。