唐突ですが、

「みなさんは、副業してますか?」

近年、副業を始める人が急増しているそうです。本業以外にやってみたいことがある、本業の収入にもう少しプラスの収入が欲しい…等々、理由はさまざまでしょうが、

こちらの記事などを見ると、副業を「容認」する企業が増えていることも背景にありそうですね。

副業容認企業が最高の64%、過重労働リスクも浮き彫り 民間調査(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC281R10Y5A021C2000000/

そんな中、今回は

「副業でも商標登録が必要なの?」

という観点について、商標専門の弁理士の視点から、副業における商標登録の必要性をわかりやすく解説したいと思います。

(1)商標登録が不要な副業とは? 【下請け型・受託型のケース】

そもそも論ですが、商標登録制度及び商標権は、「商品」や「サービス」のブランド(力)を守る制度です。

したがって、自分のブランドを用いず、

契約先から業務を受けてこなすだけの副業なら、商標登録は不要

です。もう少し噛み砕いていうと、
自分が何かしらの「サービス」を提供して、対価をもらうような副業の場合、自分の名前や屋号、それらのロゴマークのように「ブランド」を示して集客するのではなく、

契約先から仕事をもらってこなす、いわゆる「下請け型・受託型」の業務形態であれば、商標登録は不要

ということになります。そう考えると、

【商標登録が不要なケースが多い副業】

  • Webライティング
  • SNS運用代行
  • データ入力・文字起こし
  • アンケートモニター
  • オンライン秘書
  • フードデリバリー….など

が当てはまるでしょうか。

(2)商標登録すべき副業とは?【「自分のブランド」で集客するケース】

一方、自分の名前・屋号・ロゴなど、

「自分自身のブランドを使って集客している副業」は、そのブランドの商標登録を積極的に検討すべき

です。たとえば、

例①「ハンドメイド作品などの商品販売」

当然、こうした作品には、共通するブランド(名称、ロゴなど)を付されるのではないでしょうか。その作品のファンになってくれる方には、ぜひそのブランドで覚えてほしいですもんね。
そのブランドについては、対象となる作品が属する商品の範囲で、商標登録をしてほしいところです。

例②「オンラインストアの運営」

自分で作った商品を販売するよりは、自分が他者の商品を販売する「セレクトショップ」的なストアであれば、「ストア名」がブランドになる、つまり商標登録の対象となります。

例③「各種コンサルタント」「講師業・パーソナルレッスン」

こうした副業は、当然「その人」への信頼感がブランド力に通じるので、それらの業務の目印(ブランド)としている名称・ロゴマーク等は、ぜひ商標登録をしていただきたいですね。

ちなみに、ここでいう「名称」ですが、本名・ビジネスネーム・屋号などはもちろんんこと、

「オリジナルの肩書き」(「◯◯コーディネーター」等)

も、まだ一般名称になっていない段階なら、しっかり目印になりますので、商標登録の価値が大きいです。

また、こうした業務の提供にあたり、昨今はYouTube等で動画を配信している方も多いと思います。その際の「アカウント名」がブランド=商標登録の対象となるかと思います。

(3)商標登録をする際の注意点【身バレ・住所・副業規定に要注意】

「よし、副業にあたり、商標登録をしよう!」と思われた方への、注意点です。

商標登録を希望するときは、特許庁に「商標登録願(※願書)」を提出します(「出願」ですね)。出願人名義は、法人ではなく個人でもOK。出願人は、商標登録が認められると、(発生する)商標権の権利者になります。

しかしながら、

①出願人が個人の場合、「本名(戸籍上の氏名)」を記載しなければなりません。
②住所・居所の記載も必要です。

そして

③出願情報は「公開」されます。

ということは、それらに伴うリスクも生じ得ます。

【個人による商標登録が伴うリスク】

ビジネスネームやハンドルネームを商標登録しようとする場合、個人で出願すると、身バレのリスクがあります。
自宅住所を記載してしまうと、自宅が特定されてしまいます。

そして何より

「会社に無断で」副業している場合、発覚するおそれ

があります。

住所に関しては、シェアオフィスやバーチャルオフィスを検討することで、「自宅バレ」を回避できますが、「個人名(戸籍名)」の開示については、対策が必要ですよね。いくつか対策はありますが、それらをとるにしても、

◎就業している企業が、副業を認めていること

◎就業している企業に対し、副業について報告→承諾を得ていること

は絶対マストになってくるかと思います。

(4) 商標登録をしないデメリット、するメリット

【商標登録をしないデメリットと、対策】

「商標登録をしたほうがいいのはわかったけど、今はできないな…」という判断に至った場合、そのまま「自分の商標が登録できるかどうかの調査(登録可能性調査)」も、行わないままになるケースが多いですね。

そうすると、自分が使用していた商標(名称、屋号、ロゴマーク等々が)、

「知らぬ間に他人の商標権を侵害してしまう」

ことがあります。発覚した場合、ブランド名の変更や、最悪、損害賠償を求められるリスクもあります。

商標登録をしないまでも、

商標登録可能性の調査までは、行っておいたほうがいい

ですね。

もちろん、そのまま出願→登録しなければ、リスクはゼロにはなりません。そうしたリスクを低くするためにも、

「他の人とバッティングしづらい、ユニークな商標を考えて、使用する」

という心掛けが必要かもしれません。

【商標登録するメリット〜副業が「本業」になることも見据えて】

まず、なんといっても、

自分のブランドを安心して使用できる

これは、原則、他者の登録商標とバッティングする商標は、登録が認められませんので、「登録された」ということは、他者の権利を侵害してしまう心配からは、解放されることになります。安心して事業に打ち込めますね。

他者による模倣や不正利用を防止できる

ブランドが人気になってくれば、他者が「類似する商標」を使用してくるリスクも上がってきます。しかし、商標登録しておけば、逆に「商標権者」として、使用の差し止めや、場合によっては「損害賠償請求」等をすることも可能となります。

そして、これはもう「副業」ではなく、「本業」となる場合ですが、

将来的に独立・起業するとき、資産価値のある知的財産権をもってスタートできる

商標権は、無形資産である「知的財産権」のひとつです。特に、ブランド価値が上がるほど、その資産価値も上昇します。そうした目に見えない「価値」を、しっかりと権利化していきましょう。

(5)まとめ:迷ったときは、商標専門の弁理士に相談!

安心して副業を続けるためにも、知的財産権の専門家でもある弁理士、特に商標登録を専門とする弁理士にご相談ください。
あなたのブランドを、法的にしっかり守りましょう。

【知財キホンのキ】年末にあらためて考えるー商標登録の意義とは?〜「守りの理由」と「攻めの理由」
http://onion-tmip.net/update/?p=489

【知財キホンのキ】年末にあらためて考える ー 結局、商標出願するのにベストなタイミングとは?<メンタル編>
http://onion-tmip.net/update/?p=2463

 

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