ONION商標・弁理士の山中です。
新型コロナウィルスの影響で、かなりイレギュラーな展開となった2020年のプロ野球シーズンも、大詰めとなってきました。ドラフトも終わり、来季からのプロ野球生活への期待に胸をふくらませる新人がいる一方で、残念ながら退団する選手も出てくる頃です。結果を出せなければ、去らなければならない厳しい世界ですが、近年、その「去り方」について、様相が変わってきました。成功できずに自由契約となるわけではなく、むしろ、長年チームに貢献してきた選手が、そのチームで引退するのではなく、現役続行を求めて退団するというケースが出てきたのです。
「内川がソフトバンク退団へ 20年目、1軍出場なし―プロ野球」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102800368&g=spo
「41歳能見、阪神退団へ 現役続行を希望―プロ野球」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102200590&g=spo
「DeNA、16年目の石川が退団へ 他球団で現役続行模索」(SANSPO)
https://www.sanspo.com/baseball/news/20201024/den20102412320003-n1.html
能見選手にしても、石川選手にしても、プロ野球選手になって以来、ずっと同じ球団に所属してきた、いわゆる生え抜き、「フランチャイズ・プレイヤー」です(内川選手は、FAでベイスターズからホークスへ移籍した選手ですが、ホークスでも打撃タイトルも獲得しましたし、優勝にも何回も貢献した、地元・九州出身の選手ですから、ほぼ生え抜きのようなものですよね)。
チームのファンが、ずっと応援してきた象徴的な選手が、違うチームに移籍してしまう。これは悲しいことです。できれば、そのチームで引退してほしかった(、そしてそのまま指導者に…)と思うのは当たり前ですし、ともすればそういう環境を与えられなかった球団に批判をしたくなったりもします。
しかし、こういう事象を、「ファンの思い」からではなく、我々、一般の社会人に当てはめて考えてみたとき、仕方がないというか、むしろ自然なことなのかなと思うようになってきました。
例えば、メーカーに勤務する「エンジニア」が、社命で研究していたテーマがあったとして、そのテーマが商品化する以前に、会社の都合でストップとなったとします。そんなときに、そのエンジニアは研究の可能性をもう少し追いかけたいと考えて、研究の場所を探し求めて退社するということもあるでしょう。
ある会社では60歳で定年というルールだったとして、「自分はまだ頭も体も元気だし、長年培ったノウハウや人脈もある」という場合。そして、そんな自分を求めてくれる企業があれば、当然移るでしょう。
現在のプロ野球選手は、自分がそれを見始めた頃に比べれば、選手寿命を伸ばすような医療・管理ノウハウが確立され、加えて、節制・自己管理を貫く真面目な選手も増え、それなりの年齢になっても「まだやれる」と感じることが増えたのだと思います。
まして、(球団に所属しているとはいえ)そもそも個人事業主みたいなもんですもんね。自分が納得の行くまで、そのキャリアを追い求める。そして、そのキャリアをサポートしてくれる環境を探していくというのは、全く当たり前の行動なんだよな、と理解しなければなりません(….と自分に言い聞かせて、フランチャイズ・プレイヤーがいなくなる喪失感を、なんとか乗り越えていくことにしました)。
さて、今回のコラムの内容は、さすがに商標とは結びつかないだろうとお思いでしょう。いや、なんとかこじつけてみます。納得のいくまで自分のキャリアを追求し、自分のブランドを確立していく、そんな「プロ野球選手の『氏名』の商標登録」ってあるんでしょうか。
まず、有名なところといえば、やっぱり「長嶋茂雄」さんですよね。最も人気のある球団のフランチャイズ・プレイヤーでもあります。こちらは、個人事務所と思われる名義で、商標登録がされていました。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2010-066144/CAFE244B39E54878FD0F1626EABB42820C069380D6640A6B9F0B1F9EE20070BF/40/ja
となると、気になるのは「ON」のもうお一方。「王貞治」さんですね。こちらは、選手としてはフランチャイズ・プレイヤーでしたが、その後、他球団で指導者に転じられて、さらに偉大な足跡を残されている方です。調べてみると、ちょうど今年、出願されたところでした。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2020-038388/46895179717E74EACE803467F0F533009B2B4E1D99C3A7CF230321590017DD67/40/ja
こちらの出願人は、ご自身が取締役会長を務める「福岡ソフトバンクホークス株式会社」名義でした。
なお、氏名の商標登録は、原則その本人しか登録できません(商標法4条1項8号)が、その本人の承諾書があれば認められます。拒絶理由通知を受領してから提出してもいいのですが、今回の場合は事前にその承諾書が提出されていました。
よし、今回も商標ネタに結びついた!(苦笑)
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