ONION商標・弁理士の山中です。
ロックやポップスの歴史も長くなり、特に60年代や70年代に活躍したアーティストたちの訃報は、残念ながら頻繁に届く、2020年代の日常です。しかしながら、今回は敢えて、立て続けに届いた訃報を取り上げてみたいと思います。
まずは、「ベイ・シティ・ローラーズ」のヴォーカリストだった、シンガーだったレスリー・マッコーエンの訃報(4/20逝去)です。享年65歳でした。
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35791/1/1/1
ベイ・シティ・ローラーズ(以下、BCRと書きます)といえば、70年代に、本国イギリス(の中でもスコットランド出身)だけでなく、アメリカ含む世界中でヒットを飛ばしたグループですが、特にここ日本での人気はすさまじいものがあったそうです。
たとえば、1976年11月、彼らのアルバム『青春に捧げるメロディー(原題 ”Dedication”)』は、数々の日本人アーティストのアルバムを抑えて、3週連続でオリコンチャート1位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CGD27WgtKhI
こうしたセールスだけでも十分にすごいのですが、地上波TVで特集番組が組まれたり、名前を冠したラジオ番組(「輝け!!ベイ・シティ・ローラーズ」など)が全国放送されていたなど、その人気が「現象的」なものであったことを示すエピソードにも事欠きません。自分が聞いた話で最も印象的だったのは、「彼らに会うために、家出をしてスコットランドに渡り、消息不明になった日本人女子がいた」というもの。都市伝説チックではありますが、ちょっと信じたくなるほど、洋楽スターには、日本人に世界に視野を開かせるだけの魅力があったと思うのです。いまや「洋楽」は、欧米に限らず、アジア、特に韓国(K-POP)へと対象が広がっています。音楽をきっかけに、その国の言語や文化を知ろうとすることは、素晴らしいと思います。
そういえば、K-POPのアーティストは、日本市場も重視しており、そこに向けた作品もリリースしていますが、そもそも自分がレスリー・マッコーエンをリアルタイムで初めて知ったのは、BCRを脱退した彼が、ソロとして、タイガース(沢田研二さんの!)の曲をカヴァーした「銀河のロマンス」でした。
このように、海外のアーティストが日本に目を向けてくれるのも嬉しいのですが、おそらく本人が意識しないところで、その作品が日本人の感性にたまたまジャストフィットしてしまう、というケースもあります。もう一人最近訃報が届いた、ソングライター/プロデューサーの「ジム・スタインマン」も、その一人でしょう。
https://www.barks.jp/news/?id=1000200273
BCRに比べて、日本での知名度は低いですが、彼の書いた曲は、特に80’s世代であれば多くの人に愛されています。例えば、
最も有名なのは、ラグビーを通して、先生と生徒の絆や、友情を描いた人気ドラマ『スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜』(1984年)の主題歌「HERO」。麻倉未稀さんが日本語で歌っていましたが、元々はジムが、映画『フットルース』用に書いた”Holding Out For A Hero”(歌はボニー・タイラー)が原曲。洋楽のカヴァーだったんですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bWcASV2sey0
ジムの作品の特徴は、非常にドラマチックなメロディとシアトリカルなプロダクションですが、これは『スクール☆ウォーズ 』を制作していた、「大映テレビ」の作風に相通ずるところですよね。同社がやはりヒットさせた『ヤヌスの鏡』(1985年)というドラマの主題歌も、ジムの作品がオリジナルでした。映画『ストリート・オブ・ファイヤー』に提供した”Tonight Is What It Means To Be Young”という曲を、「今夜はANGEL」のタイトルで椎名恵さんが日本語カヴァーし、ヒットしたのです。さらに、1983年に放送された『さよならを教えて』というドラマでも、彼がエア・サプライに提供した全米大ヒット”Making Out Of Nothing At All”が、洋楽としてそのまま主題歌になっていました。
ヒット曲にとって歌詞は非常に重要な要素です。当然、その意味を伝えるためには、その国の母国語や、世界で多く話されている言語で歌うのがセオリーではあります。しかし、ときにメロディから伝わる世界観が、それを凌駕することもあります。ジムの場合は、自身のタレント性・アイドル性ではなく、その曲を通じて、ポップ・ミュージックの持つグローバルなポテンシャルを、日本人に(知らない間に)伝えてくれていました。
日本で、日本語の曲も、洋楽も楽しんできたリスナーとして、二人の偉大な海外の音楽家に、感謝と哀悼の意を表したいと思います。
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