ロングセラーのお菓子について、こんな商標のニュースが先日ありました。

「たけのこの里」、立体商標登録 明治の主力チョコ菓子、特許庁(共同通信/東京新聞Web)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/125730

明治による同類のお菓子といえば、「きのこの山」(1975年発売)がまずあって、それより「たけのこの里」は新しいというイメージですが、それでも1979年発売ということですから、「自分より年上!」というそのファンの方も多いのではないでしょうか。

そんな商品に対する「立体商標」とは?
また、それほどの有名・定番商品でも何回も拒絶されたとは、一体どういうことなのでしょうか?

まず、立体(商標)に限らず、商標とは、ざっくり「商品や役務(※サービスのことです)の、”目印”として使用するもの」といえます。”平面”である文字や図形がもともと日本の商標登録制度の対象でしたが、1997年に立体的形状の商標も対象となりました(さらに、2015年からは、音の商標や、色の商標等も対象に加わりました)。

立体的形状の商標?といって、例として挙げて一番わかりやすいのは、たとえば、

◎KFCの、カーネルサンダースの人形の形状 とか、
https://www.kfc.co.jp/about_kfc/ilovekfc/colonelroom.html
(登録商標)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1997-122980/2B4AF1B12270CBD800919ABB7107CB279F1795AE97549A4C65E3FAFB309E7AEF/40/ja

◎不二家の、ペコちゃん人形の形状 などです。
https://www.fujiya-peko.co.jp/pekoroom/history/
(登録商標)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1997-121403/96B64093DBC8371044D762EA60602468E0D15BC347C4D84BFA4F2ED5BBC531DC/40/ja

これらは、店頭に置かれ、両者の「飲食物の提供」というサービスや、販売されている商品の、”目印”として機能していますよね。こうした形状も登録商標として認めるのが、立体商標の制度です。

一方、今回の「たけのこの里」などは、「商品(※容器含む)の形状自体」が、その商品の目印=つまり商標として機能しているとして、立体商標として登録が認められるケースがあるわけです。

このように、立体商標として登録が認められた先輩のひとつに、「ヤクルト」のボトルの形状があるのですが、

こちらの立体商標(※「ヤクルト」の文字があります)は、出願から1年ちょいでスムーズに登録査定となっているのに、
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1997-101121/3D6CE4166C53325DA38213669712BBD10E98C67A780D302EB41ADE8424993DEA/40/ja

こちらの立体商標(※文字やロゴなどがない形状です)は、2008年9月の出願から2年半近くを要し、その間に一旦拒絶査定⇒拒絶査定不服審判を経て、やっと登録になっています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2008-072349/E3C6E5FD5BE77915AECFA0447176B64AC8E4667ACD57DB1D7C87C266071EC78F/40/ja

おなじ、ヤクルトのボトルという商品形状なのに、なぜこんなにも審査が異なるのでしょう?…

…最初に書きましたよね、商標は商品の”目印”として使用されるものだと。そうである以上、その登録には、目印となる力(「識別力」)が必要となるのです。そして、純粋な立体的形状が、その(識別)力を認められるのは、どれだけ大変なことなのかということを。

上記の答えですが、つまり立体的形状でも、その一部に「文字」や「図形(ロゴマーク)」があって、その部分が”目印”となるのであれば、その立体的形状は比較的スムーズに「立体商標」として商標登録されます。上記の例なんて、国民的に周知な「ヤクルト」の文字が入っていますから、その部分を見れば、誰でも「あ、ヤクルト(のボトル)か」と認識できますよね。つまり、識別力が認められるのです。

一方、そういった文字や図形がない、純粋な立体的形状のみの場合~それを見た場合でも、「あ、ヤクルト(のボトル)だ!」と皆、認識できるでしょうか?最初の特許庁の判断は、「認識できない」=識別力が認められない、という判断(拒絶査定)だったわけで、それを覆すのに様々な証拠を提出し、審判を経てやっと、認識できる=識別力が認められる⇒登録査定、となったのです。

ヤクルトのこうしたボトルの形状にしても、今回の「たけのこの里」にしても、いかにその形状を見ただけで、多くの人が、それぞれの商品であると認識できるかの証拠を提出して、やっと登録を勝ち取っています。具体的には、販売実績(量も期間も)、全国的な広告(広告やテレビCMなど)の出稿規模を示す資料、その他マスメディアにおける報道資料、そして消費者に対するブラインドテストやアンケートの「よい結果」のような、証拠が必要となるのです。

当然、このような証拠を提出できる商品は、そう多くはないですよね。それは、以下の主な立体商標の登録例をみれば、納得いただけると思います。

◎コカ・コーラのボトルの形状
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2003-055134/018A99F8C68A11D193C4C0B0C26064E9E86904E57B19A140BBED5DB88C9448DF/40/ja

◎エルメスのバッグの形状
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2008-016949/26F1143B4F64ACFE0F20CA23BF6EE86F7C95971669F0FBC68B01DC1107B94F09/40/ja

◎きのこの山の形状
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2017-081777/485C5C2E09DC93A0EC9A5858953D83C207841C1FFE1313602675F5AA3C79A5DB/40/ja

ところで、物品の形状を保護する知的財産権としては、意匠権著作権も考えられますが、前者(意匠権)は、物品のデザインの創作的価値を保護するものとして王道ではあるものの、登録には新規性等が問われ(※世の中で公表されてから1年以上経っていると、もうアウトです)、また出願から25年で権利は消滅します。後者(著作権)は特に手続きなく発生しますし、期間も長い(著作者の死後70年)ですが、そもそも工業デザインのような応用美術は、著作物として認められないことが多いのです。

その点、立体商標の商標権なら、(存続期間は10年であるものの)何度でも更新して、半永久的に保持することが可能ですし、登録に新規性等も問われません。著作権と違い、商標登録が認められればその商標権の存在はかなりはっきりとさせることができますしね。

つまり、「商品の形状自体」を立体商標として登録するのは、決して簡単ではないが、もしできれば、かなり強力な商標権になるということですね。

なお、立体商標の形状が、その(指定)商品等が「当然備える特徴」、つまり、その商品なら通常そのかたちになるとか、その商品等の機能を確保するために不可欠な形状のみ(※他に目印となる文字等が無い)場合は、登録を認めないというルール(商標法4条1項18号)があります。さすがに、その商品の市場を、商標権の力で独占してしまうのは困難ということですね。

 

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