ONION商標・弁理士の山中です。
10月中旬は、テレビやラジオで「松田聖子」さんを多く目に(耳に)しました。セルフカヴァーも含む、こちらの作品のプロモーションの意味合いがあったかと思います。
「松田聖子、続・40周年記念アルバムの詳細発表 財津和夫作詞作曲の新曲「私の愛」収録」(CD JOURNAL)
https://news.yahoo.co.jp/articles/53a8ba31a2e43c9784386fbe40b4758efd1750c4
1970年(昭和45年!)生まれの自分は、幼児期は多くのアイドルに触れたものの、小学生になって「さぁ、これから」というときに(苦笑)、キャンディーズやピンク・レディーの解散があり、しばらく「アイドル不在」の時期を過ごすことになりました。小学校低学年で「ニューミュージック」を聴いていたのも偉そうな感じがしますが、そんな子供にも理解できる「キャッチーさ」も兼ね備えた楽曲が、チャートを席巻していたのだから仕方がありません。
しかし、1980年になって、新しいディケイドの幕開けと共に、松田聖子さん(と田原俊彦さん)がデビューし、あっという間に(自分の周辺でも)「アイドルの時代」が再来しました。小学生も、やはりそういうスターを待ち望んでいたわけです。
ただ、聖子さんの場合は、それまでの芸能界を築いてきた優れた作詞家・作曲家による作品だけでなく、「ニューミュージック」に分類されるアーティストの楽曲も、積極的にとり挙げたことが特筆されています。
加えて、多くの作品で作詞を手がけた、松本隆さん(作詞活動50周年!)の存在も大きいですよね。先日のテレビ朝日「関ジャム」で、松本さんの、聖子さんの作品について「アイドルというより『音楽』にしたかった。」という発言が紹介されていましたが、まさに有言実行がなされたいたという気がします。
正直、「セルフカヴァー」というのは、とても勇気のいる取り組みだと思います。オリジナルには(ノスタルジーと共に)ファンの思い入れがあって、どうしても新レコーディングは「違う」と思われがちだし、逆にオリジナルが経年劣化していれば、新レコーディングは、オリジナルの存在を抹殺してしまうことにもなりかねません。
ただ、聖子さんの場合(ご本人が全くの現役であるというのは大前提ですが)、オリジナル作品の強度が全く失われておらず、そこに自信を持てるからこそ、「オリジナルがいいのはもちろん。だけど、それとは別の解釈の、こちらもどうぞ」といわんばかりに、セルフカヴァーを提示できるのだろうな、と感じました。
ちなみに、自分が一番好きな聖子さん、いや聖子「ちゃん」の曲は、今回の作品には収録されていないんだけど、呉田軽穂名義のユーミン作「秘密の花園」と、その次のシングルで、細野晴臣さん作曲(、ご自身のYMOの「君に胸キュン」のオリコン1位を阻んでしまった)「天国のキッス」あたりかなぁ。小学生だった自分が、中学生にある直前でした。
さて、実はもう一人、最近驚かされた大ベテラン/スーパースターといえば、
エルトン・ジョン(Elton John)ですね。
以前ほど熱心にではないですが、中学生の頃から気にかけているUKチャートを眺めていたところ、10月半ば、彼のシングルが久々に(※調べたら、2005年以来)1位になっていたんです。
ベテランが1位を獲得するというのは嬉しい事実でありながら、てっきり、フィーチャーしている若手女性シンガー「Dua Lipa」の人気に引っ張られたものか、あるいはRemixerとして表記されている「PNAU(プナウ)」によるダンス・トラックとしてのヒットなんだろうな、と思い込んでいたのですが、
いざ聞いてみると、これが驚くべき作品でした…
UK1位となっていたのは、”Cold Heart”という楽曲なんですが、
「あれ、この”Cold Cold Heart”というフレーズ、聞いたことあるぞ?」と記憶を辿ってみると、彼の1990年のUK1位のヒット曲”Sacrifice”のサビであることに気づきました。
しかし、この曲の情報を調べてみると、エルトンの、さらに3曲もの過去の曲が構成要素に含まれていることが分かったのです。
Dua Lipaが歌っている部分は、1972年の彼の代表曲の一つで、伝記映画のタイトルにもなった”Rocket Man”と、
1983年のヒット・シングル “Kiss The Bride”だし、
さらに、1976年のアルバム『Blue Moves(邦題:蒼い肖像)』に収められていた、“Where’s the Shoorah?”(邦題:愛しのシュラー)も使用されています(これが一番見つけづらい。3分22秒ぐらいからの部分に、この曲の冒頭のコーラスが使われてますね)。
複数の曲をスムーズに繋いだ「メドレー」は、80年代前半にブームになるなどお馴染みですし、80年代以降のダンス・ミュージックやヒップホップにおいては、楽曲の一部を抜き出して、別の曲の主要要素としていく「サンプリング」「インターポレーション」も一般化しました。さらに2000年代になると、複数の楽曲を構成要素として1つの楽曲へと再構築する「マッシュアップ」も人気の手法となりました。
今回の楽曲も、マッシュアップの一つなんでしょうが、一人のシンガーの楽曲を、4曲も繋ぐというのは、あまり記憶がありません。まして、ダンストラックではなく、一つのまた別の歌詞(ストーリー)を紡いでいるわけですからね。オーストラリア出身のRemixerチーム PNAUの力量には唸らざるを得ません。
そして、エルトンです。最近のインタビューでは、「過去に興味はない。自分の作品ですら」と発言していて、「ちょっとちょっと、長年あなたの作品を愛聴している我々を置いてかないで!」とも言いたくなりますが、そうは言っても彼の偉大な作品があっての今回の楽曲ですし、加えて重要なのは、新しい考え方・取り組みに理解を示す、エルトンの懐の深さ・尽きない好奇心があるからこそ、ですよね。
著作権法は、国ごとによって結構異なる(特にアメリカとイギリスは独特)のですが、概ねその存続期間は長くなる傾向にありますし、その楽曲を利用して別の楽曲を作る場合は、著作権(著作者人格権)の支分権が影響してきます。しかし、エルトンのような、理解のある(偉大な)著作者がいてくれたら、若い世代も、私のようなアダルト・エルダー層も、両方を惹きつける新たな楽曲は、まだまだ生まれ得るよな、と、未来に期待を抱かせてくれる、今回のヒットでした。
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