ONION商標・弁理士の山中です。
弊所は計5人の小所帯ですが、そのうち旅行会社出身者が二人もいます。「【総務部便り】今月のベストショット」を担当している総務部メンバーと、何を隠そう、この私。ということで、旅行関係のニュースにはつい目をとめてしまうのですが、最近だと特にこのニュースには驚きました。
山口市が「行くべき」世界の名所3番目 NYT「京都より興味深い」(朝日新聞デジタル)https://www.asahi.com/articles/ASS1B4DBJS1BUHBI00N.html
米ニューヨークタイムズが、世界の旅行先で「2024年に行くべき52カ所(52 Places to Go in 2024)」を発表し、その
3位が「山口市」
だというのです(1位は皆既日食が見られる北米地域、2位がパリ)。
実は、妻が山口市出身でして、結婚後は何回も訪問しています。しかし、そんな妻も、光栄という以前に驚きが先に来て、「急に外国人の人が多く来ちゃったら、ホテルとか足りるのかな?」などと心配するありさま。
なんでも、選定理由は「西の京都とも呼ばれ、過度な観光客に悩まされることが少ないコンパクトな都市」とのこと。確かに、オーバーツーリズムの問題が叫ばれる有名な観光地よりも、こちらのほうが落ち着いて、日本らしい日本を楽しめるかもしれません(ちなみに、前年、日本で最も高い順位だったのは、盛岡市だそうです)。
では、
他の地域に住む「日本人」が、山口市を訪れたら、どういう印象になるでしょうか?
神奈川出身で、他に東京・千葉にしか住んだことのない私が、山口市に訪れての印象を、”正直に”まとめますと…
◎広島や、博多といった、「地方の大都市」をイメージして行くと、肩透かしくらいます。地味です。人も少ないです。
◎ただ、山口「県」は広いですし、レンタカーなど車が使えると、俄然、観光スポットは盛りだくさんになります。
たとえば
→「下関」まで足を伸ばせば(※高速道路で1時間程度)、関門海峡や海の幸が楽しめます。特に「唐戸市場」はおすすめ。
→歴史好きなら、吉田松陰先生を産んだ「萩」ははずせません(※一般道でも1時間程度)。こちらも海の幸は豊富です。
https://www.hagishi.com/spots/
→萩まで行ったら、「長門」、そして「角島」のこの絶景もぜひ体験してほしいです。
https://yamaguchi-tourism.jp/spot/detail_10826.html
→運転が苦にならないなら、飛行機で岩国空港に入って、レンタカーで山口県横断(帰りは山口宇部空港から)もアリですね。
https://kankou.iwakuni-city.net/kintaikyo.html
→運転できない?それなら「汽車」がありますよ。山口線のSLは、鉄オタじゃなくてもアガりますね。
…って、いずれも素敵な場所ですが、
「肝心の『山口市』内じゃあ、楽しめないの!?」
と怒られてしまいそうですね。いやいや、期待値を上げすぎなければ、
山口市内・近辺だけでも、十分楽しめる要素はある!
といいたいです。では、私が特に感銘を受けたモノ・コトを紹介していきましょう。
◎”令和の大改修”中ではありますが、プロジェクションマッピングなどさまざまな施策が楽しめる「瑠璃光寺(五重塔)」とか、
◎日本屈指の大鍾乳洞「秋芳洞(あきよしどう)」。一度は体験してほしいスケール感です(※実際は「美祢市」ですが、新山口駅からバスが出てます)
◎山口県のローカルフードといえば「瓦そば」が有名ですが、ほぼ山口市内のみ・お土産セットなども存在しない「ばりそば」こそ、試してほしい!(※「春来軒 本店」が閉店したらしくショック…)
https://yamaguchi-tourism.jp/feature/gourmet_local#136
◎ロックファンなら、絶対時期を合わせて参加すべき「WILD BUNCH FEST.」。会場の山口きらら博記念公園は、海がすぐそば・移動しやすいステージ、そして豪華ラインナップです。2024年の日程が発表になったら、追記しましょう。
…など、2泊、3泊程度なら、楽しいときはあっという間にすぎていくことでしょう。
しかし、
山口市で私が最も感動したのは、「温泉」です。
湯田(ゆだ)温泉といわれる温泉街は、少しひなびた感じはあるものの、廃れているようなことは一切なく、自分が小さい頃(80年代前半?)の熱海あたりを思い出して、懐かしい気分になるんですよね。
そして何より、
「湯量が豊富」!
それこそ、東京だったら、いわゆる「スーパー銭湯」風情の施設も、しっかり源泉掛け流しだったりしますからね。
つまり、高級旅館(大きなところから、小さいところまで)に奮発して泊まって、そちらのお湯をいただくのもアリですが、ビジネスホテルにリーズナブルに宿泊して、外にあるこうした温泉施設を日帰りで楽しむことも、十分可能なのです。
さて、ここからどうやって商標の話につながるのか…ですが、
ここまで出てきた名称の中にも、登録商標が含まれているんですよ。
その多くが、「地域団体商標」
というものです。ざーっくり説明すると(※できれば、下記弊所コラムを読んでください)、
【知財キホンのキ】「地域団体商標」っていったい何?(1)
https://onion-tmip.net/update/?p=743
「地域名+商品・サービス名」から成る文字は、それがその地の名産品等の名称になっていれば、誰か特定の個人・企業が作っているものとは思えませんよね。つまり、識別力がない商標であるとして、通常は登録が認められません。
でも、その地域のブランドであることは間違いないですから、正しくその地域の事業者が使う限り、登録商標(商標権)で守ってあげるべきですよね。
そこで、農協や漁協といった組合等が、その「組合員」「会員」に使用させるための商標である場合、特別に商標登録を認めるものとして、規定されたのが「地域団体商標」制度なんです。
そこで、山口県にもいろいろ地域団体商標がありますよ。
山口県内の地域団体商標(2023年12月現在)
- 登録5029897号 下関うに(しものせきうに)
- 登録5029898号 北浦うに(きたうらうに)
- 登録5174640号 下関ふく(しものせきふく)
←「ふく」とは、いわゆる「ふぐ」のことで、多くの人が下関の名産として知っていると思いますが、「うに」も有名だったんですね!
- 登録5088770号 長門ゆずきち(ながとゆずきち)
- 登録5109216号 厚保くり(あつくり)
←「ゆずきち」とは、カボスやスダチの仲間の、柑橘の名称ですって。なんか可愛いですね。「厚保」は美祢市の地名です。
- 登録6081561号 長州黒かしわ(ちょうしゅうくろかしわ)
- 登録6122697号 長州地どり(ちょうしゅうじどり)
←地域団体商標に含まれるべき「地域名」って、こういう「旧国名」でもOKなんです。山口は海産物だけじゃなくて、とり肉もおいしいってことですね。
- 登録5883823号 赤間硯(あかますずり)
←地域団体商標 で守られるブランドは、食べ物に限りません。
そして、先ほど挙げました、「温泉」ですが、
- 登録5224250号 長門湯本温泉(ながとゆもとおんせん)
(こちらも訪れたことがありますが、風情がありましたね〜)
- 登録6127910号 湯田温泉(ゆだおんせん)
←「温泉」も、その地域における宿泊施設の提供(※第43類)や、温泉施設の提供(※第44類)といった、サービス(役務)なんですね(※これらの役務が分類されている区分)。
それぞれの地域の温泉旅館協同組合が、そのブランドを守るものとして、地域団体商標制度を利用して、商標登録しているんです。
観光地を、バックアップする「商標登録」
ということですね。逆に、(地域団体)商標の登録例をチェックすることで、その地域の名産や観光地がわかり、旅行のプランニングの参考になるかもしれませんね。
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