令和5年(2023年)商標法改正により、「コンセント制度」(商標法4条4項)というものが導入されました(※令和6年(2024年)4月1日から施行され、施行日以後にした出願が対象となっています)。

商標法では、同一か類似する他人の登録商標(「先行登録商標」)が、指定商品又は指定役務と重複する場合、商標登録を受けることができない…というのが大原則です。

しかしながら、上記に該当する商標であっても、先行登録商標権者の承諾(コンセント)を得ており、かつ、先行登録商標と出願商標との間で混同を生ずるおそれがないものについては、登録が認める…というのが、「コンセント制度」です。

詳しくは弊所の過去の記事をご参照いただければと思いますが、

【知って得する知財情報】2024年春の「知財関連 主な法改正」まとめ(商標「コンセント制度」他)
https://onion-tmip.net/update/?p=1981

制度制定から約1年後、同制度が適用された、初の商標登録が公開されました。

「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250407001/20250407001.html

こちらのページで紹介されている初の登録例を見ますと、

<先行登録商標>
「玻璃\HARI」(重複する指定役務は、第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2016-145189/40/ja

<あとから出願され、「コンセント制度」を適用して登録された商標>
§玻璃」(重複する指定商品は、第33類「酒類」「焼酎」等)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2024-034144/40/ja

これらは、商標は「類似」であり、また(区分は違うものの)指定商品「酒類」等と、指定役務「酒類の小売等役務」では、類似群コードが共通するため、互いに類似(範囲が重複)するわけですね。通常は、あとから出願された商標(※当然、出願人は異なります)は、拒絶されます。

しかし、
*先行登録商標権者が、あとから出願されたものが登録されることに「同意(consent)」した
*さまざまな資料提出の上、「両商標の間で、混同を生ずるおそれがない(査定時現在のみならず、「将来にわたっても混同を生ずるおそれがない」)」と判断された
ということで、同制度が適用されたんですね。
(ちなみに、あとからの出願が、「お酒のブランド」であるのに対し、先行登録商標は、著名なカタログギフト運営企業による、「カタログ(及びそれによる小売)のブランド」であるようですね)。

実際の制度適用例が生まれますと、法律・審査基準だけではイメージしづらかった部分が具体的にイメージできるようになりますね。

いままで「先願(先登録)商標の存在」により登録をあきらめていたものについても、コンセント制度が適用できる場合もございますので、まずはご相談をいただければと思います。

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