ONION商標・弁理士の山中です。

従前からテレワークを活用していた弊所では、チャットワークなどを介して、所員が日常の写真を交換したりしてコミュニケーションを図る文化があるのですが、緊急事態宣言中は、所員が暮らす各エリアでの「お弁当」「テイクアウト」の写真が多く投稿されるようになりました。

営業の自粛や制限が要請される中、やむを得ず始められたお店が多いでしょうから、単純に喜ぶわけにもいかないのですが、日頃は敷居の高いお店の食事がリーズナブルなお弁当となったり、子供が小さくて外食から遠ざかっているママ達が自宅で外食気分が味わえたり(←我が家です)と、大変な状況の中で(、おいしさだけでなく)新しい体験・付加価値を与えてくださる飲食業の皆様には、感謝の想いでいっぱいです。

ところで、お気に入りのパブで料理のテイクアウトを利用した際、「ビールもテイクアウトできればいいのにな」と感じたのですが、酒類のテイクアウトについては(保健所による飲食店営業許可とは別に)国税庁による「酒類小売業免許」が必要だということを今回初めて知りました。なお、新型コロナウィルスの影響を受けている飲食店への救済措置として、6ヵ月の「期限付酒類小売業免許」を、迅速に付与する制度が始まっています(※上述のパブでも、ビールがテイクアウトできるようになりました!)。

さて、商標登録は、飲食業・お弁当・テイクアウトで、何か手続きが変わるのでしょうか?

既に経験済の方であればご存知ですが、商標登録出願する際には、その商標を使用する商品・サービスを「指定」しなければなりません(指定した範囲で、商標権は発生します)。世の中の商品・サービス(役務)は、第1類~第45類の「区分」に分類されているのですが、では、飲食業等はどう分類されているかというと、

*「飲食物の提供」という指定役務→第43類
*「弁当」という指定商品→第30類

といった具合です。飲食店の店名やロゴを商標登録するとしたら第43類(「テイクアウト可能なレストランにおける飲食物の提供」という役務も、同じ第43類)となります、。

一方、その店名がテイクアウト販売する商品「弁当」自体にも使用されるなら、30類も指定することが必要になります(※30類には、他にも「茶」「コーヒー」「ハンバーガー」「ラーメン」といった指定商品が分類されています)。

また、飲み物などはさらにいろいろ分類されています(「ビール」「清涼飲料」といった指定商品は第32類、「日本酒」「洋酒」「梅酒」などは第33類など)。

指定する区分が増えると、特許庁に納める法定費用も増えていきますし、そもそも、商標登録をしなければ営業ができないわけではありません。ただ、似ている名前を他の人が先に商標登録をしてしまえば、名称を変えなければいけなくなったり、あるいは自分のお店や商品が人気が出てマネをされてしまった場合、商標権がないと対抗策が取りづらい、というリスクがあります。

さらに、指定している区分が不十分なため、訴訟に巻き込まれてしまったというケースもあります:
【本当はコワイ商標の話】商標登録したのに訴えられた!?
http://onion-tmip.net/update/?p=294

ただ、現状は、そうした将来的なリスクを考える余裕がないという事業者の皆様も多いものと思料します。しかし、商標権には「お店やメニューが人気となって『ブランド』となったとき、その価値を無形資産としてくれる」というオポチュニティ、未来への夢も詰まっています。飲食店が夢を持ち続けられるよう、弁理士としてお助けできることがあるかもしれません。不安点・疑問点がございましたら、まずはお気軽に、ご相談いただければ幸いです。