こんにちは。ONION商標・弁理士の山中です。

季節の変わり目・新年度も始まり、クローゼットの整理をされた方も多いのではないでしょうか。

いらなくなった洋服、皆さんはどう処分されていますか? 最近は「古布」として回収してくれる自治体も多いですし、フリマアプリを利用して「古着」として売るのも一般的になりましたね。

「古着」ブーム再燃!? 意識せずブームに加担していた弁理士

そんな中、私が今年、初めて利用したのが、近所にある「トレファクスタイル」さんです。リユース大手の「トレジャー・ファクトリー」さんの、ファッションに特化したお店ですよね。
https://www.tf-style.com/

ところで「古着」というと、私もいちおう”グランジ世代”でしたので(苦笑)、若い時は原宿などの古着屋さんに長時間入り浸ったりした経験もあるのですが、

しかし年齢を重ねるにつれ、古着を「清潔感をもって、おしゃれに」着る自信がなくなったり、自分にフィットする一着を”ディグる(探し出す)”手間を億劫に感じたりして、次第に足が遠のいていました。

そんな自分が、(まだ着れる状態なんだけど、自分的には)着なくなった洋服を、物の試しに近所の「トレファクスタイル」さんに持ち込んだんですね。

査定プロセスのスムーズさや、(低い期待値に反して)思ったより高い査定価格も嬉しい誤算だったのですが、

それ以上に衝撃だったのは、査定を待っている間に拝見した店内の様子でした。

実は、行く前は失礼ながら、「ファッションにあまりこだわりがない人が、安さを求めて行く場所」なのかな?なんて勝手な先入観を抱いていたんです。

しかし実際には、若い男女からアダルト層まで、実に感度の高そうな「おしゃれ大好き!」なオーラを纏ったお客様で賑わっていました。

また、店内には一点物のヴィンテージや、状態の良いブランド品がずらりと並び、まるで宝探しのような(でも探しやすい)ワクワク感がありました。

結局、私も「好きだけれど定価ではなかなか手が出ない」スポーツブランドの美品(半額ほど!)を見つけ、思わず購入。

こういう体験をすると、同業他社の「2ndストリート」さんなども好調だというニュースも、納得できるものです。古着はもはや「節約」のためではなく、「自分らしいスタイルを表現する賢い選択」になっているんですね。
https://www.businessinsider.jp/article/271557/

知財の観点:なぜ古着を「安心して」買えるのか?

さて、このコラム「弁理士のつぶやき」と題していますので、少し「知財」の観点も触れさせてください。

私たちが古着屋で数多ある服の中から、「あ、これはいいブランドの服だ」と判断できるのはなぜでしょうか。答えは、襟元やタグに付いている

「商標(ブランドのロゴマークや文字)」があるから

です。あの小さなロゴは、ただのファッション観点のデザインではありません。

「このロゴが付いているなら、あのブランドの商品に違いない。品質も守られる」

という、信頼の目印です。こうした商標の基本的機能は、専門用語で「出所表示機能」「品質保証機能」なんて言ったりします。

ブランド側にとっても、自信のロゴや商品名を「商標登録」をしておく(=商標権を取得する)ことで、自分たちの登録商標は自分たちしか使えないし、類似した商標を他者が使用していても禁止できることで、ブランド力を守れるのです。この「守り」があるからこそ、私たちは中古市場であっても、安心してそのブランドを手に取ることができるわけです。

ここでよく聞かれるのが、

「他人のブランド品を中古で売るのは、商標権侵害にならないの?」

結論から言うと、

そのまま転売する分には全く問題ありません。

これは、上述した商標の本質的機能(「出所表示機能」「品質保証機能」)が、転売されても失われることがないからですね。

むしろ、大切に使われた古着が次の方へ渡っていくことで、そのブランドの価値が改めて認識され、結果としてブランド力が高まることだってあります。

「リメイク(アップサイクル)」は商標権に注意

ただ、ファッションアイテムの転売で、商標権的に注意すべきなのが、

「リメイク(アップサイクル)」

です。有名なブランドの洋服を別のデザインに作り替えているにもかかわらず、そこに元のロゴを付けて販売する……といった行為は、商標権侵害になるリスクが非常に高いのです。

【本当はコワイ商標の話】なぜ、洋服や靴などのブランド品をカスタマイズすると、商標法違反・商標権侵害になり得るのか?
https://onion-tmip.net/update/?p=1551

「なぜ商標権侵害になるのか?」も、前述の「商標の本質的機能」を害する行為である…という視点で読んでいただくと、わかりやすいかと思います。

公式が「古着」を扱う、サステナブルな未来

そんな折、最近、ファッション業界で大きな注目を集めているのが、

オリジナルブランド/メーカー自身が「古着」を扱う動き

です。そんな「リメイクと商標」の難しい境界線を、鮮やかに解決している取り組みです。

古着ブーム再び! 大手も参入し市場拡大…その背景には“価格”、さらには“今にないもの=個性”も」(TOKYO MX)
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202604080650/detail/

例えば、記事中にある自社の商品を回収し、自社でメンテナンスやリメイクを施して再販売する。
これなら、たとえデザインに手が加えられていても、ブランドホルダー(商標権者)本人が責任を持っているわけですから、商標権のトラブルは起きません。

購入する側にとっても、「公式が認めた古着・リメイク」というのは、これ以上ない安心材料ですよね。

こうした取り組みは、被服の売れ残り→廃棄量の削減という観点もあるとは思いますが、

「良いものを長く、大切に使い続ける」

という視点もあると思うのです。すなわち

商標が、ブランドをサステナブルな未来へとつなぐバトンになっている。

とも言えそうです。そう考えると、古着屋で見かけるあの小さなロゴマークが、なんだかいつもより誇らしげに見えてくるから不思議です。

ちなみに、自分は元々「気に入った被服は、長く着続けるタイプ」。流行を気にせず着ているうちに、「セルフ古着」になってしまうこともしばしばです(苦笑)。

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