「こういう場合、商標登録をしたほうがいいでしょうか?」

と、弊所のお客様からご相談いただく場合がございます。既に商標登録をご経験いただいているお客様だからこそ、あらためて疑問が生じてくる…というのは、すごく理解できることです(そこが商標の奥が深い所以、でしょうから)。お客様の実際の使用状況や、業界の状況、そしてご予算などをふまえ、まさに「ケースバイケース」でご回答させていただいています。そういうコンサルティングこそ、まさに弁理士の仕事ですから。

一方、商標登録を一度もしたことがない、過去にしたけれどもその意義が実感できなかった、考えてはいるが「不要不急」だから実行に移していない…というお客様には、まず商標登録制度・商標権の意義をご理解いただく必要があります。費用がかかる分、もちろんそこには「メリット」が存在します。

弊所では、そのメリットを「守りの理由」「攻めの理由」からご説明させていただくことが多いんですね。

まず、なぜ商標登録するのかの、「守りの理由」ですが、

◎商標登録しておけば、一定の範囲で、その商標を独占的に使用できる

というものです。
これは比較的よく説明されるもので、事業を安心して営むための「保険」のようなニュアンスでしょうか。

社名や商品・サービス名のような「文字」、ロゴマークのような「図形」などは、商標登録の対象です。商標登録すると、「商標権」が得られるわけですが、商標権は非常に強い権利で、他者が同一または類似の名称等を(取得した商標権の商品等の類似範囲で)使用することを、禁止することができます。

そのブランド力への「ただ乗り」を企む第三者が、人気となっている御社の商品名や、その商品名と間違ってしまうような「類似した商品名」などを使用していた場合、もし商標権なしで排除しようとすると、(「不正競争防止法」等に基づく)裁判ベースになりますので、弁護士費用はもちろんのこと、御社のブランド価値を証明するための知名度アンケートの費用など、かなりの金額がかかります。

この点、御社が適切に商標権を取得していれば、それを元に「使用の差止」を請求することで、一発で解決するのです。

しかし、この観点で説明していくと「うちは事業をそんなに拡大する気もなくて、こじんまりと狭い範囲でやっていくから、大丈夫ですよ」とおっしゃる方がいます。

でも、この「商標権」の強さを逆に考えてみてください。ある日突然、知らない人から連絡があって、「御社の社名や商品名を『使わないでください』と言われてしまうことがありうる」ということです。

商標権は、日本全国が権利範囲です。したがって、他者が、御社の社名や商品名など同じか、あるいはそれと類似する名称を「先に」商標登録してしまうと、御社がたとえ、限定的な地域で経営されていても、その商標権者から、その名称を使用しないように「差止」を請求されたら、ほぼ反論ができませんので、結果として、名称の変更を余儀なくされます。

そして、皮肉なことに、シンプルで覚えやすい、つまり「いいネーミング」であるほど、そのリスクは高く(…多くの人が思いつき、そして使いたがりますからね)、「自分が先に思いついたんだぞ!」と思っても、原則、商標登録は「早く出願したもの勝ち」である以上、(先に使い始めていて、さらにかなり有名になっているなどの要件を満たさない限り)差止に従うしかないわけです。

ウェブサイトや名刺などを作り直すだけでも結構なコストになりますが、これが看板だったり、商品パッケージまで修正となると、かなりの痛手です。さらに最悪なケースとしては、相手に損害を与えていた場合、損害賠償を請求されることもあります。

しかし、一番のダメージは、事業や商品の販売・サービスの提供をする中で、社名、または商品名に着実に積み重なっていたはずの「ブランド力」「ブランド価値」を失い、またそれを一から、新ブランド名にて獲得することに挑まなければならないということにあります。もう、(実際の商品やサービスは全く同じでも)イチから出直しぐらいのショックがあるのではないでしょうか。

ちなみに、商標登録出願の前に、「同一又は類似の商標が、既に他者出願・登録されていないか」を弁理士が調査するのが通常です。調査を起業や商品リリース前にしておけば、他社の商標権を知らない間に侵害してしまうことも回避でき、一石二鳥といえるでしょう。

「守りの理由」が長くなりましたが、一方の商標登録の「攻めの理由」とはどのようなものでしょうか。

前述の “守り“的なメリットを説明しても、「うーん、今まで大丈夫だったからな。もしそうなったら、そのときに考えますよ」というタイプの事業者の方もいらっしゃいます。生命保険などもあまりお好きでない方なら、そう思われても仕方がないかもしれません。そういう方にとってはまさに「不要不急」でしょう。

しかし、商標登録をするということは、(ときには掛け捨てですらある)保険に加入することとは、全く異なります。「商標権を得て、それを自社の資産・財産にしていく」という、まさに御社(…あ、個人事業主の方も、もちろんです…)の事業をさらに発展させる”攻め”の姿勢を、しっかりとサポートしてくれるものなのです。

御社が、その業界において、いい商品やサービスを提供し続けていらっしゃるなら、既に実績・信用を獲得されているはずです。そして、それはいつの間にか「ブランド力」となって、事業者の分身ともいえる社名や商品名・サービス名(あるいはロゴ)などに、積み重なり続けています。この「ブランド力」は、明らかに御社の財産です。しかし、形もなければ目にも見えません。

こうしたぼんやりとした、しかし確実に存在する、御社の

◎「ブランド力」を、(無形ではあるものの)法的にはかたちのある資産・財産とする方法こそ、商標登録による「商標権の取得」

なのです。

そして、同様のメリットを得る方法は、他にほぼないと言えるでしょう。

ブランド力が「商標権」という無形資産になると、たとえば、サービスが有名になって、その名称を(加盟者・フランチャイジー)にライセンスしたいとか、もし万が一事業を売却されるような際、事業のブランド力(価値)を、「商標権」に値段をつけることで表現することも可能でしょう。

他にも、商標登録のメリットはあります。商標登録自体が、御社の「信用」構築に貢献してくれるという面です。登録した商標(登録商標)には、“registered”を意味する「Ⓡマーク」を付与することができます。社名・サービス名・商品名(あるいはロゴ)に、Ⓡがついているだけで、そこから発散される「信用力」は圧倒的に違うのではないでしょうか。

どんなジャンルの、どの事業者にとっても大事なもので、そう簡単に手に入るものでもないですし、またそれを上手にアピールするのが難しいところですが、それも「商標登録」が大いに武器になってくれるでしょう。

ちなみに、米国の場合は、既に商標を使用して、ブランド力が積み重なった状態でないと、本来の商標権は与えられない「使用主義」を取っていますが、日本の場合は、“これから使用する予定”の商標でも登録が可能です(「登録主義」)。

もちろん、誠実に事業を継続しなければ、真の信用が得られないのはどちらも同じですが、特にこれから起業される方が、商品名等に「Ⓡマーク」を付与して事業を始めるのは、信用を獲得していく最初の段階で、商標登録をしていない事業者よりも大きなリードを取ることになるでしょう。

確かに、商標登録には費用がかかります。しかし、その費用総額を、商標登録の存続期間10年=120か月で割ってみると、どうでしょう? 月々数千円程度ではないでしょうか。”守り“の理由からの保険料と考えても、”攻め“の理由からのコンサルティング料と考えても、決して大きすぎる負担ではないはずです。

そして、使い続ける商標権は、何回でも更新可能です。ブランド力が積み重なるほど、強く・財産価値の高まる「商標権」。

「そろそろ、自社も考えてみようかな…」と思われたら、お気軽にONION商標までご相談ください。