商標登録のご経験者であれば、「指定商品」「指定役務」「区分(第1類~45類)」
というお話が出てきたと思います。

商標登録出願する場合、その商標をどういった商品やサービス(役務)に使用するのか、その出願をする際に指定する必要があるんですね。この「指定」をミスってしまうと、どのようなリスクがあるのでしょう?

まず、「ミス」といっても、さまざまなケースが考えられます。たとえば、指定商品と、その属する区分を、間違えて記載してしまったような場合はどうでしょう。

実は、商標法6条2項には、「(6条1項で定める、商標登録出願の際に、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定することについて)政令で定める商品及び役務の区分に従つてしなければならない」とあり、これが満たされていない出願には拒絶理由が通知されるのです。

逆にいえば、拒絶理由通知が来た際に、補正が認められますので、ここで正しい区分に直せばOKということになります。

また、指定商品や指定役務の表現が「不明確」だと、同法6条1項違反ということで、やはり拒絶理由通知が来ます。これは、新しく開発された商品や、ニッチな業界における商品などのために、表現を創作して記載した場合に、不明確と判断されることがよく起こります。

これも、拒絶理由通知で「このように補正してください」と提案される場合もありますし、特許庁審査官もよく理解できない新商品やニッチ商品であれば、その証拠を提出することで認められる場合もありますので、あまり大きな問題ではありません。

しかし、「指定商品・指定役務の記載が、そもそも、商標を使用している・使用予定の商品・役務を、正しく意味するものではなかった」というミスの場合は、大変な問題となる可能性があります。

まず、これは大前提ですが、商標登録できた場合でも、商標権が発生しているのは、その指定した商品・役務の範囲のみ(※)となります。
類似の範囲まで、他者の使用を「禁止」できる権利はあります)

したがって、本当にその商標を使用したい範囲を、指定商品・指定役務に記載していなければ、その範囲では商標権を取得できていないことになるわけです。

指定商品・役務の判断が紛らわしいケースは多々ありますが、
たとえば、「お菓子」を取り扱っている事業者の方でも、その扱い方によって指定すべき商品・役務は、以下のように異なってきます。

*「菓子」(お菓子の商品自体を、自身のブランドで製造販売している場合)→第30類
*小売等役務(スーパーだったり、駄菓子屋だったり、他者ブランドのお菓子を、セレクトして販売するサービス。卸売も含む)→第35類
*「飲食物の提供」(カフェのように、店内でお菓子を提供するサービス)→43類

があります。

また、音楽アーティストが、物販(アーティストグッズ、マーチャンダイジング)に使用している自身のロゴを、商標登録しようとした場合、よくある物販の商品でも、

*タオル →第24類
*ティーシャツ、靴、帽子 →第25類

と、別々に分類されていることがあります。
もし25類の指定商品しか指定しなければ、タオルについては商標権が発生していないのはもちろんのこと、たとえ25類を指定していても、「Tシャツ」「靴(類)」「帽子」は互いに商品として非類似ですから、願書に記載して指定していないものがあれば、その商品の範囲では商標権が発生しないのです。

このように、指定商品・指定役務として記載していないと、「商標権が発生していない(そもそも、出願すらしたことになっていない)」わけですから、このようなトラブルが起きえます:

*指定していなかった範囲で、他者に、同じ商標(または類似の商標)の商標権を、取得されてしまった。
*指定していなかった範囲で、他者が、その商標(または類似する商標)の商標権を既に取得しており、商標権侵害を問われることになった(→使用の差止、損害賠償請求を受け得る)

という、恐ろしいリスクとなります。

ONION商標では、お客様からご依頼いただいた際、そのビジネス内容を詳しくお伺いし、費用対効果などもふまえた「”本当に必要な”指定商品等・区分」について、適切なコンサルティングをさせていただいています。

その際に、もっとある指定商品・指定役務のルールや、それに対するテクニック:

*包括的な概念の指定商品・役務だけ指定すると、審査が早くなるケースがある(「ファストトラック審査」)VS 包括的なものだけでなく、下位概念を表現した指定商品・役務も記載することのメリット

*指定商品・役務を多数記載した場合に受領しうる拒絶理由通知と、その回避策

*商標の識別力の関係で、登録可能性が高まるように指定商品/役務の記載方法を調整する

についても、商標専門弁理士として、適切に対応致します。
もし、ご自身の商標権に不安を感じられましたら、ONION商標にお気軽にご相談ください!

参考#1 【本当はコワイ商標の話】商標登録したのに訴えられた!?
https://onion-tmip.net/update/?p=294

参考 #2 【ONION商標・弁理士のつぶやき(ときに長め)】「アーティスト・ロゴもブランドです」
https://onion-tmip.net/update/?p=218