いつもお世話になっております。ONION商標です。

外国で商標を保護するには、日本で手続きをするのと同様、「商標を保護してほしい」と思う国に、商標登録出願の手続きをして、その国の商標権を取得しなければならないことを、前回お伝えしました。
https://onion-tmip.net/update/?p=207

しかし、実は効率的に、複数の外国に商標登録出願をする手段もあります。今回は「外国での商標登録」について、その具体的方法を説明していきます。

まず検討すべきは、「パリ条約に基づく優先権」の活用です。主要国のほとんどが加盟しているパリ条約に基づき、日本での出願から6ヶ月以内に、その商標を他国で出願すれば、日本で出願した日と同じ日に出願したことになるのです。世界各国、商標登録の大原則は”早い者勝ち”ですから、とても重要ですね。

そして、外国各国で商標登録するためには、国内同様に”出願”をしなければなりませんが、主な方法は、以下の2つです。

  1. 国ごとに出願する方法、 と、
  2. 日本での出願・登録を基礎として、複数の国に出願する「マドリッド・プロトコル(通称マドプロ)」制度を利用する方法

(※他にも、EU諸国で商標権を取得できる「欧州連合商標」といった制度もありますが、今回は割愛します。イギリスのBrexitの問題も決着がついていませんしね)。

一度の手続きで、複数の国に出願できるのであれば、当然、「2.の『マドプロ』制度を利用したほうが得じゃないか!」と考えられる方は多いと思います。確かに、出願費用の点でもリーズナブルですし、無事各国で登録になった後も、更新を一括で管理できるなどのメリットがあるので、活用しない手はないのですが、いくつか注意点もございます。
中には、ちゃんと順序立てて利用しないと、外国での商標登録が取り消されてしまう場合もあるのです。そんなマドプロの注意点はこちらになります。

<マドプロの注意点>
1) マドリッド・プロトコルに加盟していない国を指定して、出願することはできません。
代表的なところでは「台湾」などがあるのですが、今月になって「カナダ」が加盟したことからもわかる通り、有名な国が意外と未加盟だったりするので注意が必要です。

2) 「セントラル・アタック」という、コワい制度があります。
これは、基礎とする日本での商標登録出願・登録が、国際登録の日から5年以内に拒絶、無効等となると、従属している国際登録も同時に失効してしまうというもの。この場合、せっかくマドプロ経由で登録した各国での商標登録も、取消になってしまうのです。

マドプロ手続きのためには、日本国内での「出願」を基礎にできますが、出願が拒絶となる可能性は、登録が無効になる可能性よりはるかに高いので、日本国内での商標登録が認められてから、マドプロ出願をする方が安全でしょう(日本国内での登録には「早期審査制度」も活用できます)。

3) マドプロ経由で出願まではできても、その後の審査については、国ごとの商標法に基づき、審査されます。
各国で、何らかの「拒絶理由」が通知されたりすると、各国における代理人(弁理士等のこと)を指定して、対応をお願いする必要が出てきます。当然、有償です。

そして、これは「1. 国ごとに出願する」場合でも言えることですが、なるべく拒絶理由通知がされないよう、その国で同一/類似の先願・先登録商標の有無を調査したいところですね。しかし、世界知的所有権機関(WIPO)や 欧州連合知的財産庁(EUIPO)等が提供する無償のウェブデータベースによる調査では、限界があります。

一方、精度の高い詳細調査となると、現地代理人や外部調査会社への委託が必要となり、かなりの高額(複数の国だと数百万円)となるケースもあります。

以上から言えることは、

  • 実際に事業計画がある国での商標の保護のためには、その国における商標登録はマスト。
  • 一方、どの出願制度を使っても、外国での商標登録には、それなりの費用がかかることを想定する。
  • そして、その国ごとに出願すべきか、マドプロ制度を利用すべきかについては、ケースバイケース

ということです。従いまして、ぜひONION商標など、外国での商標登録の経験が豊富な弁理士に、事業計画やご予算も含め、お早めに(…日本での出願時、あるいは出願から6ヶ月以内に)ご相談ください。

さて、次回は、海外で商標登録を検討するときに、最も注意すべき国「アメリカ合衆国」の、他国とは異なる商標制度について、ご説明します。