いつもお世話になっております。ONION商標です。

外国で商標を保護するには、「商標を保護してほしい」と思う国に、商標登録出願の手続きをして、その国の商標権を取得しなければならないことを、前々回お伝えしました。

https://onion-tmip.net/update/?p=207

続く前回は、「外国での商標登録」の具体的な方法として、

① 国ごとに出願する方法 と、

② 日本での出願・登録を基礎として、複数の国に出願する「マドリッド・プロトコル(通称マドプロ)」制度を利用する方法

それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。

https://onion-tmip.net/update/?p=209

ここまでくると、「外国での商標登録」のイメージもだいぶつかめ、つぎは実際に出願の検討に進むわけですが、外国といえば、やはり商業大国である「アメリカ(合衆国)で、商標登録しておきたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。

しかし、このアメリカの商標制度は、日本を含めた他国とは大きく異なります。そのキーワードとなるのが、「使用主義」と「コモンロー」です。

商標制度が目指すところは、文字やロゴなどが、いわゆる“商標”として、商品やサービスの目印として正しく使用されていったとき、その文字等に積み重なっていく「ブランド力」を、使用者の独占的な権利として保護することにあります。つまり、商標(権)は、「商標を使い続けてこそ価値がでる」のです。この本質的な目的は、日本もアメリカも変わりません。

ただ、日本(や多くの他国)の場合は、「誰がその商標を使う権利があるのか」を、先に登録した者に与えることでコントロールし、無秩序な状態を避ける制度をとっています。これが「登録主義」という考え方で、「これからちゃんと商標を使用するんだよね?じゃあ先に商標権をあげましょう」という、性善説的な?かたちで、出願の早い者勝ちで商標権を与えているのです。

それに対して、アメリカは、まず使用ありき。「とにかく、ちゃんと商標として(文字やロゴにTMマークをつけつつ)使用して、ブランド力を高めなさい。ちゃんと使用してたら、商標権も認めますよ、なんなら商標登録しなくても同等の権利を持っていることにしますよ」という、制度なのです。この「先に使用されている商標が、後から使用された商標に優越する」という主義の根拠になっているのが、アメリカの「コモン・ロー(判例法)」なのです。

そして、このような考え方のアメリカにおいては、3種類の商標権が存在します。

①コモン・ローに基づく商標権 (商業的使用により、実際に使用している範囲で発生)

②州登録に基づく商標権(商標登録により、その州に限定して発生。ただし、実際の使用も必要)

③連邦登録に基づく商標権(商標登録により、全米本土に及ぶ権利として発生。ただし、実際の使用も必要)

もし、(日本での登録を基礎として)アメリカへの直接出願や、マドプロによるアメリカの指定をすれば、先に登録されている(同一又は類似の)商標権がない場合は、③に相当する商標権を、日本の皆さんも取得することができます。しかし、“実際の使用が必要”とある通り、登録から5〜6年後には「使用宣誓書」により、アメリカ国内で使用していることを証明しないと、権利が維持できないのです。

また、仮に商標登録をして使用し始めても、同一又は類似の商標について、登録されていない「が」効力のある①が先に存在していれば、もし裁判になった場合は、その商標権侵害となってしまうのです(こうならないためには、先登録の有無を調査する「登録可能性」だけでなく、権利侵害にならないかどうかの「使用可能性」も、調査することが重要になります。どちらも有償です)。

こう考えると、アメリカでの商標登録(商標権)は、「とりあえず取っておこう」というタイプのものではなく、登録後の手間やリスク、リスク回避のための調査費用を考えれば、「具体的な事業展開・商品展開に基づく”本気”」が求められるものだと考えるべきです。

一方、インターネット時代においては、ジャンルによってはあっという間に商品やサービスが、海を越えて取引されることになります。「アメリカの商標制度はよくわかっていないけど、ただ実際に、アメリカでの事業の話が進んでいて…」という場合は、ONION商標など、海外(特にアメリカ)での商標登録実績のある、弁理士事務所にまずは早めのご相談をすることをお勧め致します。