ONION商標の記事でも、商標権の区分(第1類〜45類)の重要性に関するものは過去にいくつも書いてきました。

【本当はコワイ商標の話】 商標の「指定商品」「指定役務」の指定を間違えたら?
https://onion-tmip.net/update/?p=495

【本当はコワイ商標の話】第35類「小売等役務」は、万能でも裏技でもありません。
https://onion-tmip.net/update/?p=3815

しかし今回は、「キホンのキ」ということですから、そもそも論の話をしていきたいと思います。

★1. 商標の区分(第1類〜45類)ってどう決まってるの?

世の中にさまざまな商品・役務(サービス)が存在しますが、これらがどのように、第1類〜45類の区分に分類されているのか

別に日本の特許庁が勝手に決めているわけではないんです。拠り所にしている国際的な分類がありまして、それは

ニース国際分類

というものです。これは、「ニース協定」という、世界中で商標の分類ルールを共通化するための国際的な決まりに基づいて採択・公表された、「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類」のことなんですね。正文は英語及び仏語となっていますが、日本は英語を採用しています。

さて、このニース国際分類、歴史は大変古く、1963年に発効しています。

しかしながら、日本がニース協定へ加盟したのは、それからだいぶ経った、1990年(2月20日)。この加盟により、ニース国際分類を副次的に採用することとなり、1992年4月1日から主たる体系で採用することとなりました。

つまり1992年4月以前は、日本独自で分類(区分)を定めていたんですね。

さて、なぜこのタイミングでニース協定に加盟する判断がなされたのでしょうか。その目的は

「商標制度の国際的ハーモナイゼーションの観点」から

だったんですね。そして、同じ92年4月のタイミングで、加盟国では一般的となっていた

「サービスマーク登録制度」も導入

されました。つまり役務商標についても商標登録が認められるようになったわけです。

こうして、当時のニース国際分類に従った分類(区分)導入以降、その後国際分類の版が新しくなるたびに、

特許庁は、商品及び役務の区分に属する商品又は役務について規定する「商標法施行規則別表」を部分的に改正し、その改正に対応した「類似商品・役務審査基準」を作成しているんですね(現在は毎年1月1日に最新版が適用されています)。

この分類が、世界の主要国(ニース協定加盟国)で共通化されているというのは、重要ですよね。だって、商標権は各国・地域ごとに発生するものとはいえ、1つの加盟国で出願/登録された商標に基づいて、他の地域に出願する制度(国際登録)もありますから。もし、そのときに国ごとに分類が異なっていたら、もう収拾がつかないですもんね。こうした秩序こそ、先述の「商標制度の国際的ハーモナイゼーション」ということになります。

★2. 商品・役務の分類は変更されることがある。なぜ?

ところで、上記で「国際分類の版が新しくなる(たびに)」と記載しました。つまり、

商品・役務の分類というのは、変わることがある

んですね。たとえば、国際分類第7版までは、区分って「第42類」までしかなかったんですよ。しかし、どんどん生まれる新しいサービスが、なにかと最後の第42類に分類されることが多かった結果、この区分がとても肥大化してしまいました。

そこで、2002年発効の第8版で、それまでの(旧)第42類が、(新)第42類〜第45類という4つの区分に分類されなおされたりしています。

ところで、このように、自分の商標登録(商標権)で指定していた商品・役務の分類が変更されてしまったとき、商標権の効力はどうなってしまうのでしょうか。

たとえば、この第8版では、(旧)第42類に分類されていた役務「飲食物の提供」は、新設された第43類に移動しています。なにか新しいことをしないと、「飲食物の提供」の範囲での商標権が失われてしまったりするのでしょうか?

結論からいうと、そのようなことはありません

区分(分類)が変わったからといって、それまで取得していた範囲の商標権の効力が失われるようなことはありません

ので、安心してください(もし失われるような制度なら、「商標に積み重なっていくブランド力を守る」という商標権・商標法の目的を果たさないですもんね)。

ただ、こうした区分・分類の変化を把握しておかないと、

「新しくつくった商標を、商標登録しよう! 使用する事業範囲は以前に登録した商標と同じだから、一緒の区分でいいよね?」と思って進めると、「区分が正しくない」という拒絶理由を通知されることになりますので、その点は注意が必要です(→といっても、商標専門の弁理士・弁理士事務所に頼っていただければ、心配ありません)

ところで、前述のような「区分(分類)の増加」のような大きな変更は数年にあるかないかだとしても、個別の商品・役務の分類変更(区分の移動)は、結構頻繁に起こります。やはり世界のビジネスシーンの変化や、新しい商品・役務の誕生、そして商標制度の利用者・管理者から「こうしたほうがいいよ」という様々な声が寄せられた結果、ニース分類も変更されていくのでしょうね。

★3. 近年の区分・分類変更や、新しい指定商品・指定役務の追加<2026年1月〜の変更情報もあり>

日本の目線でいえば、ニース分類が変更となれば、日本の区分・分類も変更されることになります。

たとえば、2026年1月1日からは、ニース分類「第13版」に対応した、「類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版〕」が施行されました。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/document/ruiji_kijun13-2026/02_henkouten_ichiran.pdf
商取引の実情の変化等に対応すべく、一部の商品・役務について表示の明確化等を行われたわけですが、
「国際分類及び省令別表の改正に即した改訂」、または「商取引の実情の変化への対応のための表示の明確化等」の理由から、区分の変更(類移行)が行われるわけです。例えば、今回の改訂でいうと

第9類「眼鏡」「サングラス」「コンタクトレンズ」 → 第10類(※医療器具などの分類)へ移行

などが大きかったわけですが、

エンタメ関連の商標も多く取り扱っているONION商標が注目したのは、

第41類「録音又は録画済み記録媒体の複製」→ 第40類へ移行

があります。

というのも、「録音又は録画済み記録媒体の複製」と日本語訳されていた、ニース分類の英文は「dubbing」
だったのです。これ、「音楽のカセットテープや、映像のビデオテープを、ダビング(複製)」していた世代(※弊所弁理士含む)にとっては自然な訳だったのですが、今回の改訂で、ニース分類の英文に入ったのは、

Class 40「duplication of sound and video recordings」

だったのです。まさにこれこそ、第40類「録音又は録画済み記録媒体の複製」という訳がふさわしいものですよね。

そうなると一体、ニース協定の第41類(class 41)に残っている「dubbing」とは、一体、どういう役務なのか?(どういう日本語訳がふさわしいのか?)ということで、これに相当する指定役務として追加されたのが、

第41類「吹き替え」

です。

こうした表示の変更や、新しい商品・役務が追加されるケースとしては、新たにそうした商品・役務がメジャーになってきたことに伴うことが多いですよね。今回の改訂で、

・第5類「アロマテラピー用オイル」
・第34類「たばこ用香味料」

といった指定商品が追加されたのも納得ですし、ここ数年という幅でみれば、

・第36類「暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換」

といった指定役務も追加されています。

そして最近の追加で、やはりONION商標が注目したものとしては、日本の「類似商品・役務審査基準」の表現とはなっていないのですが、「ニース分類」には入っていて、その日本語訳を日本でも指定できるようになった指定商品・役務の表現としては、

・第9類「非代替性トークン(NFT)により認証されたダウンロード可能なデジタル音楽ファイル」(※「downloadable digital music files authenticated by non-fungible tokens [NFTs]」の訳

・第28類「アクリルスタンド(スタンド付きのアクリル製平型おもちゃのフィギュア)」(※「flat acrylic toy figures with stands」の訳

などがあります。

アーティスト名の商標登録では、その名を冠した物販(マーチャンダイジング)を指定商品として指定する必要がありますが、近年すっかり人気商品となった「アクスタ」について、

かつて特許庁に問い合わせした際は第20類『アクリル製スタンド型の置物』と、第28類『アクリル製スタンド型フィギュア人形(又はおもちゃ)』の両方を指定するのが安全とアドバイスされていたのですが、上記の指定役務が第28類に追加されたことで、安心して指定できるようになりました。

なお、2026年1月の改訂を反映させた、弊所による区分一覧(※概略版)は、こちらとなります。
https://onion-tmip.net/assets/dl/kubun.pdf

★4. しくみはわかったけど、自分で区分・分類を判断するのは不安…という方へ

「新しい商品やサービスの商標登録にあたって、どのように指定したらいいかわからない!」

「久々の商標登録なので、最新の区分指定に不安がある」

といったケースは、まさにONION商標のような「商標専門の弁理士事務所」の出番です。ぜひお気軽にご相談ください。

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