ONION商標・弁理士の山中です。

連載第1回では、技術革新等に伴い変化しつづけるエンタメ業界において、(確かに、現状に追いついていない部分はあるけれども、)やはり拠り所とすべきは「著作権法」であり、そこを「ざっくり」学んでしまうことが近道だ、というお話をしました。

しかし、せっかく「勉強するぞ!」と意気込んでも、なかなかわかりにくい理由があるんですよね。

(前回はこちら)
https://onion-tmip.net/update/?p=726

連載第2回も、「なぜ著作権法はわかりにくいのか」、その理由が続きます。

【わかりにくい理由 その②】「法律>規則 ≠ 慣習」

音楽業界、映画業界、出版業界、放送業界…といった、まさに「著作物」を扱うエンタメ業界に入り、実務をされてきた方(※法務部や知財部の方は除きますよ)ほど、自分の実務を行うにあたっての著作物の扱いについて、約束事を先に身に着けたことと思います。上司や先輩から教わった、「こういう場合は、こういう風にするんだよ」「こういう場合は、こういうことになっているんだよ」というやつです。

レコード会社を通じて属することとなった「音楽業界」の場合もそうで、「JASRAC(日本音楽著作権協会)」とか、「日本レコード協会」といった団体を介して、関連する音楽出版社や、放送局、CD店(、レンタルCD店)、アーティストが所属するマネジメントや、そのマネジメントが所属する団体との間で、みんなが従っていくさまざまな規則、ルールが、既に確立していたのですから。

ところが、弁理士資格を目指すにあたり、はじめて著作権法に向き合ってみて気づいたことといえば、

「まるで法律のように考えていた、業界の規則は、著作権法とは違う」

「(音楽)業界における規則は、あくまで『著作権法』という法律に抵触しない範囲の中で、さまざまな処理・判断を『運用しやすくする』ために定められていることが多い」

、という点でした。

そういう業界ルールが悪い、という意味では決してありません。法律(著作権法)では、細かい部分まで規定しない場合もありますので、その運用について、業界のみんなが納得いくルールを定めることは重要ですし、あるいは「法律上は『できる』とされていることでも、ある程度定型化して制限しないと、業界が回っていかない」ために、簡素化する解釈で定めたルールもあるでしょう。

ただ、技術革新が加速度的に進んだ21世紀においては、過去に「ある程度制限しないと、業界が回っていかない」として簡素化する解釈で定めたルールが、「現在の技術なら、そんなに簡素化しなくたっていいよね」ということにもなりえます。

しかも、技術革新は日進月歩続いているわけですから、もともと、わかりづらかった「法律」「規則」の境目が、現代ではさらに「曖昧かつ、揺れ動いている」ということですね。

そんな時代に新たに登場する事業化やクリエイター達の素朴な疑問・・・

「なんで、『しちゃいけない』っていうルールなんですか?」

に対してしっかり答えるためには、「原則論はどうなんだっけ?」ということで、法律(著作権法)を拠り所とする重要性が高まります。

まして、新しい世代に、「法律」「規則」とも異なる、業界の「慣習」について、「今までがそうだったから…」なんて説明では、納得してもらえるわけもありません。

たとえば、それは著作権法に触れる行為でもなければ、規則としても明確にしていないんだけど、業界における力関係・主従関係(※ざっくりいえば、強いコンテンツ、限られたインフラ、人気のタレントを所有するほうが、上にいきますよね)や、歴史を重んじる社会性から考えて、

「〇〇さん(個人・会社)に、話は通しておいたほうがいいよね」
「〇〇さんのご機嫌を損ねるなら、やめておこうか」

というような、慣習的な判断をするシーンもあるわけです。

ただ、ここでも難しいのは、若い世代が「自分は慣習なんて気にしないぞ!」と、そういうものを全て無視してしまうとしたら、「それは慎重になったほうがいいよ」といわざるを得ない点です。

これは、オールド世代からの説教じみた理由というより、むしろ「慣習が、実は法律と関連する場合もある」と考えるからです。

たとえば、「念のため、〇〇さんの確認を取っておこう」という慣習。これは、「いちおう、この件について、〇〇さんの耳に入れておかないと、気分を損ねるかもしれないからな」という慣習であるかもしれない一方、〇〇さんが著作権法に基づく何らかの権利を所有していれば、その権利の利用について「許諾」をいただく行為も兼ねているかもしれないのです。

従来からの規則や慣習をただ見下すのではなく、「法律」との境目を見極めること。これが難しく、重要なポイントになってきます。その境目が曖昧で揺れ動いている時代だから、なおさらです。

さて、今回はここまで。次回はついに(やっと?)著作権法の中身を見ることにします。その中身、構造を見ると、そこにも「だから、著作権法ってわかりづらいのかー」という理由が見えてきます。

 

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