去年の年末から報道されたのが、「無印良品」という商標が、中国において全く関係のない第三者に登録されてしまい、日本で同ブランドを運営している良品計画が逆に訴えられ、敗訴してしまったという残念なニュースです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191211-00000007-binsiderl-int

ここで、あらためての原則ですが、
*商標権は、国・地域(※)ごとに商標登録することにより発生する。(※中国であれば、本土と香港は別です)
*どこの国・地域(※)でも、商標登録は早い者勝ち(※米国は、先に使用し始めたほうが優先)
ですので、良品計画(と、中国における権利者が販売する、必ずしも良質ではないらしい商品を購入してしまう現地の消費者)には大変気の毒な話ですが、やはり商標を使用する国では早めに出願をするに限ります。限りますが…やはり納得がいかない感は残りますよね。中国における権利者は、明らかに日本の「無印良品」のブランド力が、中国にも通用することを知っていて、出願したのでしょうから。

では逆に、中国など「外国」において有名(周知・著名)な商標が、日本で商標登録されていなかった場合、誰でも先に商標登録してしまえるのでしょうか…?

答えは「NO」です。日本の商標では、4条1項各号で「商標登録を受けることができない商標」を定めていますが、その19号に、こういう条文があります。

他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

つまり、「外国(に限らず日本国内でも)で既に周知・著名になっている商標や、それに類似する商標を、不正の目的で使用する場合は、日本の登録を認めませんよ」ということです。「不正の目的」については、カッコ書きの中にもありますが、日本で登録されていないのをいいことに、

  • その周知商標の所有者に高額で買い取らせる目的の出願
  • その周知商標の所有者の国内参入を阻止する目的の出願
  • その周知商標の所有者に代理店契約を強制する目的の出願

などが該当します。

また、外国において「どれくらい有名(周知・著名)になっているものが対象?」かというと、必ずしもその国全土で知られている必要はない場合があります。例えば、米国のひとつの州である「ハワイ」でのみ周知な商標の、第三者による出願に対して、この条文が適用されたことがあります。

この条文、いつできたかというと、実は「平成8年(1996年)」なんですよ。今から24年前の段階で既に、国際交流の拡大から、日本内外の周知商標の保護の必要性が求められたわけですね。

それを考えると、現状の中国の状況は大変遅れており、日本の商標法と比べとても不公平に感じますが、私たちの国の法制度の公正さを誇りつつ、早く中国も同様の法制度ができることを期待したいですね。

そして、その期待が叶うまでは、自衛していくしかありません。中国をはじめ外国での出願は、ハードルが高いように感じられるかもしれませんが、必要な範囲に絞っていくことで日本国内での商標登録と同程度の費用で可能となる場合もございます。ぜひお気軽に、ONION商標の弁理士までご相談ください。

(過去の外国出願に関するコラムはこちら)
https://onion-tmip.net/update/?p=207
https://onion-tmip.net/update/?p=209
https://onion-tmip.net/update/?p=230