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技術革新等に伴い変化しつづけるエンタメ業界。
そんな時代だからこそ、拠り所とすべきは「著作権法」ですが、「法」に対していきなり細かいところをつつくのではなく、「その全体や構造、考え方を『ざっくり』学んでしまうことが近道だ」という趣旨でご紹介する連載、その第19回です。

だいぶ不定期でのんびりやっているこの連載ですが、本来はもっと早くこちらに触れたかったんです。それぐらい大事な、

著作者人格権

です。だってね、そもそも第3回で少し触れてるんですよ。「なぜ著作権法はわかりにくいのか」という文脈で、

【ざっくり著作権法】第3回「なぜ著作権法はわかりにくいのか(3)」
https://onion-tmip.net/update/?p=809

この回の【わかりにくい理由 その④】の欄で、こう説明しました。

「著作権」法って言ってるのに、「著作権以外」の権利も定めている!

その1つが「著作者人格権」

なわけです。今回からはこちらについて説明してみたいと思います。

★「著作者人格権」は、著作者の何を守るもの?

著作物を創作すると、創作した人は、その「著作者」となり(同法2条1項2号)、その著作物について「著作権」と「著作者人格権」を得ます(同法17条)。

【ざっくり著作権法】第4回「そもそも…著作物って何だ?」
https://onion-tmip.net/update/?p=878

そのうち、第18回まで説明してきた「著作権」は、著作“財産”権とも言われるとおり、著作物が生み得る「財産的な価値(人気のある著作物は、利益・儲けを生み出しますから)」を守るための権利でした。

それに対して、著作者人格権については、私はこのように説明することにしています:

「著作者人格権」は、著作者の、自分の著作物への“想い”を守る権利

著作者が、どのように著作物を生み出したかはケースバイケースで、それこそ後に「傑作」と言われた著作物が、意外と短時間で創作された、なんていうエピソードもよく聞く一方で、「産みの苦しみ」の末に創作された著作物も無数にあるでしょう。

いずれにせよ、著作者にとっては、自身の著作物は、自分の子供であるかのように、あるいは自分の分身であるかのような、大切なものだと思うんですね。

そうなると、自身の著作物(の扱われ方)について「儲かる、儲からないの話じゃないんだよ」「いくらお金を積まれても、認められない」と感じる場面が出てきても不思議ではありません。

そんな場面における、自身の著作物を守りたいという、著作者の“想い”を守るために、著作者人格権は存在するのです。

もちろん、「著作者」に与えられる「人格権」、という理解もできるでしょう。人格権とは何かを紐解くと、「人格的利益を保護する権利の総称」といった説明がされているかと思いますが、“人格的利益”は、それこそ「儲かる(儲からない)」という利益ではなく、

個人の尊厳、名誉、プライバシー、身体の安全性など、人が社会で人間らしく生存し、人格を発展させるために不可欠な利益(の総称)

ですので、著作者人格権についても、著作者の「尊厳、名誉等、著作物と結びついた『著作者の人格的な利益』を保護する権利」という理解ができるかと思います。

★著作者人格権は、3つの「◯◯権」+1から成る

著作権法は、「章」→「節」→「款(かん)」という順に構成されているところ、

その第二章「著作者の権利」→第三節「権利の内容」と続いていきますが、第三節の第一款「総則」は、実は上述の第17条(著作者には著作権と著作者人格権が与えられることを定めた)の1つしかありません。そしてその後に続くのが

第二款 著作者人格権

です(それこそ、著作権について定めた「第三款 著作権に含まれる権利の種類」より前に来ているんですね)。

では、著作権法上、著作者人格権とは、1種類なのでしょうか。著作権は、実は「◯◯権(※支分権)の束」という概念で、複数ありましたよね。

【ざっくり著作権法】第5回「著作者が得る権利ー著作権(その1)」
https://onion-tmip.net/update/?p=922

実は、著作者人格権もいくつかの権利の束になっています。しかし、著作権ほど多くありません。第二款に定められた3つの条文=3つの権利からなります。

・公表権(第18条)

・氏名表示権(第19条)

・同一性保持権(第20条)

ただ、ここに「+1」として紹介したい条文があります。第八章「権利侵害」のところにある、第113条です。

(侵害とみなす行為)
第百十三条(第一項) 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす
(※以下略)

第113条には多くの項があり、その中のいくつかで「著作者人格権を侵害する行為とみなす」ケースも規定されていますが、特に直接的かつ重要なのが、第11項です:

11 著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。

この「みなし侵害」規定は、3つの著作者人格権をカバーする(、あるいはその内容を拡大する)ものとなっています。

このように著作者人格権としては、3つ(公表権、氏名表示権、同一性保持権)+1つの「みなし侵害規定」からなる、と捉えていただければと思います。

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さて、次回からは、上記「著作者人格権」を構成する権利を、1つずつ深掘りしていきたいと思います。

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