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技術革新等に伴い変化しつづけるエンタメ業界。そんな時代だからこそ、拠り所とすべきは「著作権法」ですが、「法」に対していきなり細かいところをつつくのではなく、「その全体や構造、考え方を『ざっくり』学んでしまうことが近道だ」という趣旨でご紹介する連載、その第4回です。

第1~3回は、「なぜ著作権法はわかりにくいのか」について述べました。

(第1回はこちら)https://onion-tmip.net/update/?p=726
(第2回はこちら)https://onion-tmip.net/update/?p=752

そして前回(第3回)では、
https://onion-tmip.net/update/?p=809

その「わかりにくい」理由のひとつとして、「『著作権』法って言ってるのに、『著作権以外』の権利も定めている!」という点を挙げました。

そして、今回からは具体的に、同法で定める権利のうち、

◎「著作権」
◎「著作者人格権」
◎「著作隣接権」

について、ざっくり説明していこうと思います(◎「出版権」は前回説明)。ただ、途中、ちょっと遠回りになるかもしれないのは、ご容赦ください。

まず、メインとなるのが「著作権」と「著作者人格権」ですが、
著作物を創作した人は、その「著作者」となり(同法2条1項2号)、これら2つの権利を得ます。当たり前のこというなって?でも、その根拠は、同法に定められているから言えるんですよ。

(著作者の権利)
第十七条 著作者は、~(~「著作者人格権」~)並びに~(~「著作権」~)を享有する。
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

わかりやすくするために、大部分を「~」で中略させていただきましたが、何の手続きもせずに、著作物を創作した瞬間、著作者の中に「著作者人格権」と「著作権」が生まれるイメージです(これを「無方式主義」といいます)。特許庁に手続きをしないと生じない、つまり「方式主義」である産業財産権(特許権や商標権等)等とは大違いですね。

ところで、ここでまた、「そもそも論」なギモンです…

「著作物」って、一体、何なんでしょう…?

あらためてそんな素朴な質問されても…と思いますよね。でも大丈夫。これも、著作権法ではしっかりと定義づけてくれているのです。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

(ちなみに、二条ではこの後も、著作権法に出てくる用語を定義づけてくれています)。

しかし、この定義、ちょっと漠然とし過ぎてませんか?もちろん、世の中に新しい創作物が生まれたときや、そもそも立ち位置が曖昧なものを、それが著作物なのかどうかが争われるときは、この条文に当てはめて判じられるわけですが、

普段づかいのものさしというか、「これって、当然、著作物…だよね?」ってものを、著作物と言い切ってもらう条文としては、使いづらいわけです。

ただ、それは法律を作った人たちもわかってたんですね。もっと使いやすい「ものさし」を、他の条文として用意してくれていました。

「たとえば、こういうものが『著作物』ですよ」と、例を示してくれているのが、下記の条文です。

(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

はい、2条1項1号の定義より具体的な「例」ですよね。普段から、「えっ、それって著作物だよね!?」と思うようなものは、ここに示されています。

さて、整理しますと、
例にあるような「著作物」を創作すると、「著作者」として、「著作権」と「著作者人格権」を、手続き無しに得ることができる。

とまとめることができるわけですが、じゃあ、「著作権」と「著作者人格権」は、具体的にはどんな権利なのか。ここについて述べるつもりが、紙幅が尽きてしまいました。こちらは第5回(→ http://onion-tmip.net/update/?p=922 )に続きます。

 

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